おばかさんよね。

RK3328、4GBメモリ搭載のAndroid TV box「A5X Max Plus」実機レビュー

公開日:  更新日: 2017/12/07

こんにちは。
マイコンが好物のガジェットブロガーのあるばかです。

a5x-max-01
「A5X Max Plus」は豪華なハードウェアを搭載したミドルクラスのAndroid TV boxです。
4GBメモリ、32GBのeMMC、ギガビットイーサ、USB3.0などハイエンドに匹敵する豪華な仕様です。

大容量メモリこそ正義。
Apple TVやFire TVなぞヤフオクで売り払って、
ハイスペAndroid TVに乗り換えたら捗るはず!

過剰な期待を持ちつつ、「A5X Max Plus」を試してみました。
実際の使い勝手や分解結果の詳細レビューをお届けします。
※中華ガジェットの通販サイト「TOMTOP」よりサンプル提供されたものです。

スペック

まずはスペックのポイントをざっくりご紹介します。
a5max-brief

外観

11cm四方のコンパクトで軽い筐体。
正面には7セグメントLEDディスプレイ、後面と側面にHDMIやUSB端子など各種端子がぎっしり実装。
拡張性が高い機種です。

A5X MAX 梱包

いたってシンプルな梱包

A5X MAX付属品

赤外線リモコン、HDMIケーブル、ACアダプタが付属

A5X MAX右側面

右側面にフルサイズSDカードスロットとUSB3.0

A5X MAX 後面

HDMIなど各種出力

ユーザインタフェース

至ってシンプルなAndroid TVのユーザインタフェースです。

細かい設定をいじるならUSBマウスが必要です。
常用するならこの類のワイヤレスキーボードが便利です。

カタログスペック

A5X Max Plusのカタログスペックがこちらです。

機種名 A5X Max Plus
実売価格 45ドル
SoC
メーカー Rockchip
チップ名 RK3328
CPUコア Cortex-A53, 1.5GHz x4コア
GPUコア Mali-450 MP2
ハード
RAM 4GB
eMMC 16GB/32GB
SDカード 最大128GB
WiFi 2.4/5GHz
802.11ac 2x2 MIMO
イーサネット 1000M
Bluetooth 4.1
USB USB3.0 x1,
USB2.0 x3
HDMI HDMI 2.0a
(4k @60fps,
HDR10/HLG)
オーディオ SPDIF, ステレオミニ
その他
OS Android 7.1
ファイルシステム FAT16/FAT32/NTFSをサポート
ビデオ処理 4k対応VP9, H.265/H.264デコーダー
電源 ACアダプタもしくはUSB
外形 11.2 x 11.2 x 2.2(cm)
重さ 142g
付属品 HDMIケーブル、赤外線リモコン

際立った特徴は4GBメモリ、USB3.0、ギガビットイーサ、NTFS対応です。
リビングに設置する静音・コンパクトなHTPCやNMP(ネットワークメディアプレイヤー)用途にうってつけでしょうか?

中華ガジェットをカタログスペックだけで判断するのは危険です。
実際に評価してみた結果を紹介します。

評価結果

Antutuスコア

「Antutu」のベンチマーク結果がこちらです。

項目 A5X Max Plus
総合 35,858
3D 1,482
UX 18,231
CPU 11,585
RAM 4,561

今時のローエンド〜ミドルクラスのSoCです。
カタログスペックと比較すると3D性能が低い気がしますが、
他のRK3328搭載機種のベンチマーク結果も似たような傾向でした。

RK3328はCPUはわりと優秀で、GPUがちょっと弱いSoCという印象です。

アプリ動作

root化のNG判定以外にも、動作しないアプリがありました。
相性がシビアというか、挙動が安定していない印象です。

・Google日本語入力:問題なし
・Amazonプライムビデオ:動画再生するとアプリ強制終了でNG。
・DAZN:「お使いの端末はこのバージョンに対応していません」というエラーでインストールできず。
・dビデオ:root化判定でNG

消費電力

ワットチェッカーで消費電力を測定しました。
起動時無負荷で3〜4Wでした。
それと、ACアダプタをつなぐ5V電源端子以外にも、USB端子経由でも起動できました。
USBならモバイルバッテリーで起動できるので便利ですね。

リモコンの電源ボタンでスリープモードに入りますが、消費電力はほとんど変わりません。0.5W程度、減るだけです。
1時間放置しても同じでした。
RK3328自体に低消費電力のスリープ機能がなく、HDMI出力と本体ディスプレイがオフになるだけのようです。
再度、電源ボタンを押すと、一瞬で復帰します。
SoCが常に起きているから当たり前ですが…。

待機消費電力が数Wの家電なんてザラにありますが、Apple TVやFire TVなら待機時消費電力1W以下です。

電源オフ状態からのコールドスタートはけっこう早いです。およそ20秒です。

感想

「A5X Max Plus」はHDMI-CECに非対応、スリープモードもない、日本のクラウド系ビデオサーバとの相性問題など、細かい使い勝手がひっかかりました。
Rockchipの最新SoC「RK3328」という期待がありましたが、
Android TVならAmlogicのSoC搭載したモデルを選ぶのが無難です。

カスタマイズ性

中華ガジェットの醍醐味のひとつが「改造」ですね。
どこまでイジれるのか、確認してみましょう。

分解

ゴム足の下に隠しネジ

ゴム足の下に隠しネジ

本体裏のゴム足をめくると隠しネジがあります。

A5 Max分解2

ネジ止め4箇所のみで分解できる

4本の隠しネジをプラスドライバーで外すだけで簡単に分解・組立できます。

隠しボタン「リカバリーモード」

リセットボタン

ステレオミニ端子の奥にリセットボタン

ステレオミニ端子の奥に隠しボタンがありました。
ここを押しながら電源を入れるとAndroidのリカバリーモードになります。

隠し端子「MaskROM mode」

MASKROMモード

赤線部をショートさせて起動

eMMCの基板裏あたりにある、写真赤線部2箇所の端子をショートさせながら電源を入れ、数秒後に端子をオープンに戻すと、MaskROM modeになります。

MaskROM modeになったA5X Max PlusとPCをUSBでつなぐと、ブートローダーやファームウェアを書き換えることができます。

さらっと書きましたが、けっこう面倒でハマりました。
まずショートさせる端子は小さい上に離れているので、器用さが要ります。
金属製ピンセットか針金があればベスト。
私はアルミホイルをねじった紙縒りでもイケました。

A5X Max PlusとPCのUSBポートをつなぐためには「オス-オスのタイプA-タイプA」型のUSBケーブルが必要です。

Windowsの場合、RK DriverAssitantでRK3328のドライバーをインストールしたのち、androidtoolなりRockchip Batch Toolなりで書き換えることができます。

UART端子

SoCの裏あたりには「TX, GND, RX」とシルク印刷されている端子も発見。
UARTの端子と思われます。

Linuxをインストールしてみる(未達)

A5X Max Plusと同じRK3328を搭載した「ROCK64」というRaspberry Pi3互換キットがあります。

ROCK64用OSとして、AmrbianやLibreELECなど各種Linuxディストリビューションが公開されています。

A5X Max Plusは起動イメージを書き込んだSDカードをセットしただけでは起動できませんでした。
リカバリーモードでもMASKROMモードでも変わらず。
MASKROMモードに入ってPCからfirmwareを書き換えば動きそうですが、そこまでしてLinuxを動かしたい理由もなく保留。

海外フォーラムでもRK3328搭載TV boxの情報がにわかに集まりつつあり、面白そうなハックがあれば試してみたいと思います。

こんな用途におすすめ

HTPCならAmlogic SoCが無難

Android TV boxが一番ハマる使い方は、リビングのテレビと接続するHTPCやNMP(ネットワークメディアプレイヤー)です。

しかし動画再生・ゲーム用途が目的ならRockchipのSoC(RK32xxやRK3328)より、AmlogicのSoC(S905やS912)を搭載したモデルが無難です。
A5X Max PlusはAntutuの3Dスコアが低く、実際に動画再生しているときもエンコードがうまくいかず、音声だけ再生されたりアプリが落ちることがたまにありました。

ソフトウェアの調整でどうになるのかもしれませんが、廉価なAndroid TV boxは素のAndroid TVとSoCの実力勝負。
RockchipのSoCはGPU周りが弱い印象があるし、ソフトウェアの作り込みにも期待できません。

小型型PCとしてならアリ

スティック型ではなくボックス型ですが、非常に軽量かつUSB電源で起動できるので、
モバイル用途もいけます。
会議室のディスプレイとホテルのテレビにつなげたり等。

OSにLinuxを入れるなら素直に「ROCK64」を購入したほうが楽ちんです。
試行錯誤する手間を楽しめるなら「A5X Max Plus」は「ROCK64」と同程度の価格で、eMMCやリモコン、ACアダプタ等々、周辺部品が付属する分だけお得です。
「ROCK64」のようにラズパイ互換のピンヘッダーはさすがに無いですが。

低消費電力サーバとしてのポテンシャル

この手のAndroid TVとしては珍しく、高速なUSB3.0ポートを搭載しています。
さらにNTFSとギガビットイーサにも対応しています。
外付ハードディスクを接続して、DLNAサーバや簡易的なNASとしても便利です。
タッチ一発でメディアサーバが超手軽につくれるのはAndroidならではです。

WoLや細かい設定をいじるならLinuxのほうが便利ですが、とりあえず動けば良いという場合はAndroidもアリです。

A5X MAX Plus
RK3328搭載Android TV BOX

こちらからは以上です。
「A5X Max Plus」についてチェックしたい動作があれば、お気軽にコメントください。