おばかさんよね。

【特価情報】【レビュー】5ユニットは伊達じゃない!中華イヤホンのベストバイ「KZ ZS10」


4BA+1DDのハイブリッドイヤホン「KZ ZS10」のレビューです。
価格以上の音質で話題の中華イヤホン・メーカー KZ社の新モデル「ZS10」は、想像以上のサウンド・クオリティでした。

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ZS10
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バランスド・アーマチュアとは?

通称BAこと、バランスド・アーマチュア(Balanced Armature)とは、イヤホンの音を鳴らす部品(ドライバー)の駆動方式のひとつです。

仕組み

普通のイヤホンはダイナミック型ドライバー(通称:DD)です。
ダイナミック型はボイスコイルがダイヤフラム(振動板)を直接、動かして音を出します。

BA(バランスド・アーマチュア)型ドライバーとは、ボイスコイルに挟まれたアーマチュアがダイヤフラムを動かす仕組みです。

BA型の最大の特徴は「小型化できること」です。
BA型が高級イヤホン中心に流行しているので、勘違いしやすいのですが、
音質はBAもダイナミック式もそれぞれ一長一短。
「BAだから高音質」というわけではありません。

参考:ドライバーユニットの駆動方式
audio-technica|Headphone Navi|ヘッドホンを識る

音質

ダイナミッグ型とBA型の音質面の特徴を一言であらわすと
・ダイナミック型はオールマイティ&低音が得意
・BA型は繊細
です。

ダイナミック型は周波数特性がフラット、
つまり低音から高音まで幅広い音域をオールマイティーにカバーできます。
ダイヤフラムを大きくすれば、パワフルな低音を出せるのもダイナミック型の特徴です。

一方、BA型はわりと狭い音域(帯域)をクリアに再生するのが得意です。
逆にダイナミック型のように幅広い音域をカバーするのは苦手です。
特にサイズが小さいBA型は、低音の量感が乏しくなりがちです。

そのため、高音用と中低音用に複数個のBA型ドライバーを使う「多ドライバー」が人気です。
多ドライバーにすると、高音が得意なドライバー、中低音が得意なドライバーの良い所どりができます。
ドライバーが物理的に分かれているおかげで、低音と高音のクロストークの影響もなく、音の解像度が高くなるメリットもあります。
例えば、ボーカルがBGMで埋もれやすいシーンでも、ボーカルが前に出てくるような印象になります。

BAを多ドライバー化することで、ダイナミック型とは段違いにクリアで解像感の高い音質が実現できます。
多ドライバー化のデメリットは音のバランス調整が難しいことです。

1つのドライバーでフルレンジをカバーするダイナミック型に比べて、
多ドライバーのBAは低音と高音を割り振るネットワーク回路の設計も肝になります。

このあたりはスピーカーのマルチウェイvsフルレンジ論争と同じ理屈です。
ただし、スピーカーとイヤホンでは許容される筐体サイズと必要な音量がまったく違います。
筐体サイズに制約がなければ、たとえばタイムドメインスピーカーのように、
シングルドライバー(フルレンジ)でもマルチウェイと同等以上の音質を実現できます。
しかしイヤホンのサイズで
「ハイレゾのクリアな音質を楽しみたいし、パワフルな低音も譲れない」
となると、小型のダイナミック型ドライバー1発では無理があります。

フルレンジ特有の良さもあることは認めた上で誤解を恐れずに言うと、
「究極音質のイヤホン=多ドライバー」が王道です。

用途

「イヤホンはBAの多ドライバーが最高音質」
と言いましたが、
現実には、おそらく9割以上のイヤホンはダイナミック型です。
ごく限られた用途でしか、BA型ドライバーは採用されていません。

その理由は製造コストです。
しょせん、イヤホンはスマホやオーディオ機器の付属品。
「俺、音に拘るから」とイヤホン単体を買うにしても、
ボリュームゾーンはせいぜい1万円以下です。

BA型を使うのは、補聴器、あるいはプロ用カスタムIEM(インイヤーモニター)でした。
どちらもイヤホンをできるだけ小型にしたい、しかも明瞭な音質が求められる特殊な用途なので、BA型が使われてきました。

IEMは装着感が重要なので、耳型採取を採取してつくるカスタムメイドが普通です。
そういう手間がかかることもあり、10万円超のお値段が当たり前の世界です。
プロミュージシャンや関連職業の人、あるいはかなり重症のオーディオマニアでないと、手が出せない逸品でした。

しかしここ数年、BA型イヤホンの敷居がぐんと下がってきました。
10万円以下、頑張れば手の届く価格帯で、ShureやソニーなどがBA型ドライバー搭載した高級イヤホンを発売。
いまやBA型ドライバーが高級イヤホンの一大トレンドになっています。

人気の理由

昔からBA型の良さは知られていたのに、
なぜこの数年で人気に火がついたのでしょうか?

おばかさんの分析では、BA型ブームの理由は「ハイレゾ化」です。

「せっかくハイレゾ音源を買ったのに、思ったより違いがない」
と不満を持ったユーザーが、
「ちょっと良いイヤホンを買おう!」
「まー、せいぜい1万円くらいかな」
とヨドバシカメラあたりに試聴にいくわけですな。

で、
「BA型、めちゃくちゃ音が良い!」
と感動して、予算オーバーでも買ってしまうパターンです。

ハイレゾ音源は特に高音域の情報量が豊富です。
高音が得意なイヤホンを使うと、ハイレゾの良さが見えてきます。
そう、クリアな高音といえばBA型の得意領域です。

MP3みたいな圧縮音源だと違いが分かりづらく、
「BA型が音が良いのは分かるけど、コスパが悪い」
「同じ価格帯ならダイナミック型のほうがコスパが良い」
というユーザー評価になりがちでした。

高音以外にも、ハイレゾ音源とBA型の特徴は相乗効果があります。
BA型は「音の分離がよく、楽器やボーカルの輪郭が鮮明」なので、
「今まで聞こえなかった音も聞こえるようになった!」
という感動体験が生まれるのです。

なぜ高い?

手が届く価格帯になってきたと言っても、
BA型のイヤホンが相変わらず馬鹿高い理由のひとつが、
BA型ドライバーを供給できるメーカーが少ないことです。

BA型ドライバーは、アメリカのKnowles社とデンマークのSonion社の2社が寡占している市場です。
よほどこの2社が高いのか、ソニーはBA型ドライバーを内製しています。

そこに切り込んできた新興メーカーが中国のBellsing(深圳倍声声学技术)です。

Bellsing製ドライバーのおかげで、BA型イヤホンが一段と値崩れしてきました。
ネット通販で1万円以下で購入できる激安BA型中華イヤホンは、たいていBellsingのドライバーを使っているようです。

ハイレゾ化で人気に火がついたBA型イヤホン。
中国製ドライバーの登場で5000円〜10万円の幅広い価格帯で百花繚乱となっています。

KZ社について

中華イヤホンで大躍進しているのがKZ(Knowledge Zenith)社です。
SENNHEISER(ゼンハイザー)IE80のレプリカモデル「KZ-IE80」など、
「どっかで見覚えのあるデザイン」でスタートしたブランドですが、
見た目だけではなく、音質も値段以上のクオリティだと話題になった注目メーカーです。

そんなKZが独自デザイン・独自技術を詰め込んだ自信作が2018年5月発売の「ZS10」です。

ZS10

特徴

ZS10は4BA+1DD、合計5ユニット。BAとDDのハイブリッドタイプです。
BA型多ドライバのメリットを存分に活かした解像度の高い音、
それでいて、低域から高域までナチュラルなプロポーションです。

このクオリティで、お値段はなんと6000円前後!
間違いなくBA型中華イヤホンのベストバイです。

仕様

  • BA型ドライバ:広域用にKZ 50060が2基、中低域用にKZ 30095が2基
  • 新開発のダイナミック型ドライバ
  • インピーダンス:32Ω
  • 感度:104dB
  • リケーブル用端子:2pin、ピン径0.75mm

初期のKZイヤホンは、一般的な中華イヤホンと同じくBellsingのBA型ドライバでしたが、最近のモデルではKZのオリジナルとなっています。
KZがドライバを内製しているかは不明ですが、少なくとも特注なのでしょう。
このあたりも、他の中華イヤホンと一線を画する性能につながっていそうです。

デザイン


基板の色は赤、筐体は赤、黒、青の3色展開です。
スケルトンプラスチックで高級感はありませんが、
初期のiMacを彷彿とするデザインはけっこう良い感じです。
男性がつけても女性がつけても、ハードコアにならず、涼し気な感じです。

比較

KZ社 ZST

ZSTは1BA+1DDのハイブリットタイプ。
コスパの高さからバカ売れしたモデルです。

モビルスーツで例えると、ZS10がガンダムで、ZSTがジムです。
シェルのデカさはほぼ同じ、それでいて音はZS10が格段に上。
予算が許すかぎりはZS10がおすすめです。

KZ ZS6

ZS6は2BA+2DDのハイブリッドタイプ。
Campfire AudioのANDROMEDAにそっくりな金属筺体です。

解像度が高い点が評価されていますが、
強調しすぎて、高音がハーシーでシャリシャリするという感想が散見されます。
個性派がほしいならZS6も魅力的ですが、
最初の1台ならバランスが取れたZS10が無難な選択です。

ZS10の感想

ここが良い(・∀・)イイ!!

5ドライバーは伊達じゃない

この音質、シャアが裸足で逃げ出すレベルです。

  • 解像感:ひとつひとつの音の輪郭が明確で、非常にクリア、
  • 低域:良質でリニアリティに余裕を感じる、
  • 高域:フラット。KZの従来製品に比べて、耳に刺さる感じ(ハーシーさ)が改善された。
  • バランス:ドンシャリ傾向は抑え気味でナチュラル。
  • 音場:かなり広い。特にボーカルが前に出て聞こえる。

ZS10の凄さは、リファレンス音源の定番であるEAGLESの「Hotel California(Live版)」が分かりやすいです。
会場の拍手や歓声のリアルさ、アコースティック・ギターのエッジ、ボーカルの定位に注目して、いま使っているイヤホンやスピーカーと比べてみてください。
ZS10の凄さが分かると思います。

このレベルのイヤホンが実売6,000円だというから、ただただ驚きです。

ここがイマイチ(´・ω・`)

デカい

5ドライバーも詰め込んでいるから仕方ないとはいえ、シェル(筺体)はデカいです。
ざっくり10円玉くらいの外形と奥行きです。

半透明色のプラスチックなので、外見的な存在感や重さはさほど気になりませんが、
寸法はアジア人の耳のサイズ的にはギリギリだと思います。

フィット感を高めるためにも、イヤーチップをコンプライのようなウレタン系に交換することをおすすめします。

品質にムラがある

KZは色々な意味で、まだ品質が甘いです。

マイナーチェンジで新モデルをばんばん発売してきますが、
設計に当たり外れが多く、見掛け倒しに終わることもあります。
今回のZS10は幸いアタリでした。
KZ初の4BA+1DDというチャレンジングな設計ですが、音質は極めて良好です。

内部

接着剤多い。内部配線が間違っている不具合報告あり。

実装精度が微妙。はんだ付けにムラ。

製造品質についても、接着剤の量が多いし、部品のはんだ付けも雑です。
Amazonのレビューを調べてみると、内部配線が間違っていたとか、左右で音量差があったとか、品質クレームが頻繁に見受けられます。
「安かろう、悪かろう」から脱却することが課題ですね。

オプション

そのままでも十分凄いZS10ですが、追加オプションで格段にグレードアップするポテンシャルを秘めています。

DAPやポタアン

ZS10は低インピー・高感度設計で、スマホ直挿しでも問題なく楽しめます。
とはいえ、DAPやヘッドホンアンプできちんと鳴らしてあげることで真の実力を発揮します。

リケーブル

付属するケーブルもハイクオリティ

ZS10に付属する4芯無酸素銅ケーブルもかなり高品質ですが、リケーブルも楽しめます。
8芯銀メッキケーブルとの組み合わせが人気です。
特に女性ボーカルの曲で定評があります。

ZS10のソケットは0.75mmですが、CIEM用の0.78mmピンも差し込めます。
ただし一度0.78mmピンを差し込むと、KZ純正の0.75mmはゆるくなってしまうのでご注意を。

ワイヤレス化


Bluetoothレシーバーを内蔵した交換用ケーブルを使えば、高音質なワイヤレスイヤホンに早変わり!
aptXコーデックには対応していませんが、音質は悪くありません。

純正ケーブルと同様、イヤーフックになるワイヤー入りです。
エクササイズ用に便利です。

ZS用Bluetoothケーブル
実売1200円

なにより1000円ちょっとで手軽に試せるのが魅力です。
この使い方が気に入ったら、aptXに対応した高性能版もあります。

個人的にはワイヤーを毎回付け替えるのが面倒で、ワイヤレスモジュールは使わなくなりました。
ワイヤレスイヤホンが必要なときは、こういう完全独立型を使っています。

ZS10
実売6000円