RK3328、4GBメモリ搭載のAndroid TV box「A5X Max Plus」実機レビュー
こんにちは。
マイコンが好物のガジェットブロガーのあるばかです。
「A5X Max Plus」は豪華なハードウェアを搭載したミドルクラスのAndroid TV boxです。
4GBメモリ、32GBのeMMC、ギガビットイーサ、USB3.0などハイエンドに匹敵する豪華な仕様です。
大容量メモリこそ正義。
Apple TVやFire TVなぞヤフオクで売り払って、
ハイスペAndroid TVに乗り換えたら捗るはず!
過剰な期待を持ちつつ、「A5X Max Plus」を試してみました。
実際の使い勝手や分解結果の詳細レビューをお届けします。
※中華ガジェットの通販サイト「TOMTOP」よりサンプル提供されたものです。
目次
スペック
まずはスペックのポイントをざっくりご紹介します。
外観
11cm四方のコンパクトで軽い筐体。
正面には7セグメントLEDディスプレイ、後面と側面にHDMIやUSB端子など各種端子がぎっしり実装。
拡張性が高い機種です。
ユーザインタフェース
至ってシンプルなAndroid TVのユーザインタフェースです。
細かい設定をいじるならUSBマウスが必要です。
常用するならこの類のワイヤレスキーボードが便利です。
カタログスペック
A5X Max Plusのカタログスペックがこちらです。
機種名 | A5X Max Plus |
---|---|
実売価格 | 45ドル |
SoC | |
メーカー | Rockchip |
チップ名 | RK3328 |
CPUコア | Cortex-A53, 1.5GHz x4コア |
GPUコア | Mali-450 MP2 |
ハード | |
RAM | 4GB |
eMMC | 16GB/32GB |
SDカード | 最大128GB |
WiFi | 2.4/5GHz 802.11ac 2x2 MIMO |
イーサネット | 1000M |
Bluetooth | 4.1 |
USB | USB3.0 x1, USB2.0 x3 |
HDMI | HDMI 2.0a (4k @60fps, HDR10/HLG) |
オーディオ | SPDIF, ステレオミニ |
その他 | |
OS | Android 7.1 |
ファイルシステム | FAT16/FAT32/NTFSをサポート |
ビデオ処理 | 4k対応VP9, H.265/H.264デコーダー |
電源 | ACアダプタもしくはUSB |
外形 | 11.2 x 11.2 x 2.2(cm) |
重さ | 142g |
付属品 | HDMIケーブル、赤外線リモコン |
際立った特徴は4GBメモリ、USB3.0、ギガビットイーサ、NTFS対応です。
リビングに設置する静音・コンパクトなHTPCやNMP(ネットワークメディアプレイヤー)用途にうってつけでしょうか?
中華ガジェットをカタログスペックだけで判断するのは危険です。
実際に評価してみた結果を紹介します。
評価結果
Antutuスコア
「Antutu」のベンチマーク結果がこちらです。
項目 | A5X Max Plus |
---|---|
総合 | 35,858 |
3D | 1,482 |
UX | 18,231 |
CPU | 11,585 |
RAM | 4,561 |
今時のローエンド〜ミドルクラスのSoCです。
カタログスペックと比較すると3D性能が低い気がしますが、
他のRK3328搭載機種のベンチマーク結果も似たような傾向でした。
RK3328はCPUはわりと優秀で、GPUがちょっと弱いSoCという印象です。
アプリ動作
root化のNG判定以外にも、動作しないアプリがありました。
相性がシビアというか、挙動が安定していない印象です。
・Google日本語入力:問題なし
・Amazonプライムビデオ:動画再生するとアプリ強制終了でNG。
・DAZN:「お使いの端末はこのバージョンに対応していません」というエラーでインストールできず。
・dビデオ:root化判定でNG
消費電力
ワットチェッカーで消費電力を測定しました。
起動時無負荷で3〜4Wでした。
それと、ACアダプタをつなぐ5V電源端子以外にも、USB端子経由でも起動できました。
USBならモバイルバッテリーで起動できるので便利ですね。
リモコンの電源ボタンでスリープモードに入りますが、消費電力はほとんど変わりません。0.5W程度、減るだけです。
1時間放置しても同じでした。
RK3328自体に低消費電力のスリープ機能がなく、HDMI出力と本体ディスプレイがオフになるだけのようです。
再度、電源ボタンを押すと、一瞬で復帰します。
SoCが常に起きているから当たり前ですが…。
待機消費電力が数Wの家電なんてザラにありますが、Apple TVやFire TVなら待機時消費電力1W以下です。
電源オフ状態からのコールドスタートはけっこう早いです。およそ20秒です。
感想
「A5X Max Plus」はHDMI-CECに非対応、スリープモードもない、日本のクラウド系ビデオサーバとの相性問題など、細かい使い勝手がひっかかりました。
Rockchipの最新SoC「RK3328」という期待がありましたが、
Android TVならAmlogicのSoC搭載したモデルを選ぶのが無難です。
カスタマイズ性
中華ガジェットの醍醐味のひとつが「改造」ですね。
どこまでイジれるのか、確認してみましょう。
分解
本体裏のゴム足をめくると隠しネジがあります。
4本の隠しネジをプラスドライバーで外すだけで簡単に分解・組立できます。
隠しボタン「リカバリーモード」
ステレオミニ端子の奥に隠しボタンがありました。
ここを押しながら電源を入れるとAndroidのリカバリーモードになります。
隠し端子「MaskROM mode」
eMMCの基板裏あたりにある、写真赤線部2箇所の端子をショートさせながら電源を入れ、数秒後に端子をオープンに戻すと、MaskROM modeになります。
MaskROM modeになったA5X Max PlusとPCをUSBでつなぐと、ブートローダーやファームウェアを書き換えることができます。
さらっと書きましたが、けっこう面倒でハマりました。
まずショートさせる端子は小さい上に離れているので、器用さが要ります。
金属製ピンセットか針金があればベスト。
私はアルミホイルをねじった紙縒りでもイケました。
A5X Max PlusとPCのUSBポートをつなぐためには「オス-オスのタイプA-タイプA」型のUSBケーブルが必要です。
Windowsの場合、RK DriverAssitantでRK3328のドライバーをインストールしたのち、androidtoolなりRockchip Batch Toolなりで書き換えることができます。
UART端子
SoCの裏あたりには「TX, GND, RX」とシルク印刷されている端子も発見。
UARTの端子と思われます。
Linuxをインストールしてみる(未達)
A5X Max Plusと同じRK3328を搭載した「ROCK64」というRaspberry Pi3互換キットがあります。
ROCK64用OSとして、AmrbianやLibreELECなど各種Linuxディストリビューションが公開されています。
A5X Max Plusは起動イメージを書き込んだSDカードをセットしただけでは起動できませんでした。
リカバリーモードでもMASKROMモードでも変わらず。
MASKROMモードに入ってPCからfirmwareを書き換えば動きそうですが、そこまでしてLinuxを動かしたい理由もなく保留。
海外フォーラムでもRK3328搭載TV boxの情報がにわかに集まりつつあり、面白そうなハックがあれば試してみたいと思います。
こんな用途におすすめ
HTPCならAmlogic SoCが無難
Android TV boxが一番ハマる使い方は、リビングのテレビと接続するHTPCやNMP(ネットワークメディアプレイヤー)です。
しかし動画再生・ゲーム用途が目的ならRockchipのSoC(RK32xxやRK3328)より、AmlogicのSoC(S905やS912)を搭載したモデルが無難です。
A5X Max PlusはAntutuの3Dスコアが低く、実際に動画再生しているときもエンコードがうまくいかず、音声だけ再生されたりアプリが落ちることがたまにありました。
ソフトウェアの調整でどうになるのかもしれませんが、廉価なAndroid TV boxは素のAndroid TVとSoCの実力勝負。
RockchipのSoCはGPU周りが弱い印象があるし、ソフトウェアの作り込みにも期待できません。
小型型PCとしてならアリ
スティック型ではなくボックス型ですが、非常に軽量かつUSB電源で起動できるので、
モバイル用途もいけます。
会議室のディスプレイとホテルのテレビにつなげたり等。
OSにLinuxを入れるなら素直に「ROCK64」を購入したほうが楽ちんです。
試行錯誤する手間を楽しめるなら「A5X Max Plus」は「ROCK64」と同程度の価格で、eMMCやリモコン、ACアダプタ等々、周辺部品が付属する分だけお得です。
「ROCK64」のようにラズパイ互換のピンヘッダーはさすがに無いですが。
低消費電力サーバとしてのポテンシャル
この手のAndroid TVとしては珍しく、高速なUSB3.0ポートを搭載しています。
さらにNTFSとギガビットイーサにも対応しています。
外付ハードディスクを接続して、DLNAサーバや簡易的なNASとしても便利です。
タッチ一発でメディアサーバが超手軽につくれるのはAndroidならではです。
WoLや細かい設定をいじるならLinuxのほうが便利ですが、とりあえず動けば良いという場合はAndroidもアリです。
こちらからは以上です。
「A5X Max Plus」についてチェックしたい動作があれば、お気軽にコメントください。