Amlogic系Android TV boxにLinuxをインストールする
Amlogic系TV boxはラズパイ互換機としてもおすすめです。SDカードを入れるだけでArmbianが起動します。
目次
Amlogic系TV boxはデュアルブートが簡単
AmlogicのSoCを採用したAndroid TV boxは、ブートイメージを書き込んだSDカードを挿入するだけで簡単にデュアルブートできます。
隠しコマンドや隠しスイッチの操作は一切不要です。
SDカードを挿入して電源を入れると、内蔵フラッシュメモリよりSDカードを優先して起動する仕組みになっています。
どうやらAmlogicが提供するTV box向けリファレンスデザインがこのような起動シーケンスになっているようです。
Amlogic系ガジェットがすべて同じ挙動になる保証はありません。
また、イーサネット、WiFi、Bluetoothなどインタフェース周りはドライバの相性問題が発生しやすいです。
激安端末はマイナーな部品に変更していることが多いので、動作実績がある機種を選ぶのが無難です。
それと、基本的に付属の赤外線リモコンはLinux環境では動きません。
メディアプレイヤーとして使う場合はBluetooth接続のリモコンをおすすめします。
おすすめ機種
S912を搭載したモデルがおすすめです。
S912とS905のピーク性能はさほど変わりませんが、S912は省エネ性能が向上しています。
S905搭載モデルは安さが売りですが、メモリ1GBのモデルばかりだからです。
ただ、動画再生目的ではS905が推奨されています。
AmlogicがS912のGPUライブラリを提供していないため、OpenGL処理の最適化ができないためです。
Android用ドライバーを流用するlibhybrisというソフトで擬似的に動作させているとのこと。
Z69 Plus(S912)
Z69 PlusはS912、3GBメモリを搭載したTV boxです。
今回はZ69 Plusにインストールしてみました。
LibreELECの動作は問題無し。
Armbianもすんなり動きましたが、初期設定ではWiFiが使えませんでした。
有線LANは問題なく動くので、とりあえずスルーしています。
Z69 Plusのレビュー記事はこちら。
Amlogic S912, 3GBメモリ搭載の「Z69 Plus」でAndroid TV再チャレンジ - おばかさんよね。
H96 Pro、Beelink GT1(S912)
H96 ProやBeelink GT1はAndroid TVでポピュラーなモデルです。
Gearbestが安いですが、速達料金を払っても届くまで1週間くらいはかかります。
日本のアマゾンでも、リーズナリルな価格ですぐに入手可能です。
Khadas VIM2
S912/S905を搭載したDIY用シングルボードコンピュータ(SBC)です。
WOL(Wake On Lan)対応、電源制御用8bitマイコン、メーカーサイトで公式フォーラム有とIoT用途を狙った渋い仕様です。
S905搭載シングルボードといえばODROID-C2というガジェットもありますが、VIM2のほうが断然、コミュニティが盛り上がっています。
ほすぃ。
MXQ PRO(S905)
S905を搭載したTV boxならMXQ PROがポピュラーです。
スペックそこそこながら、5000円以下で買える安さが魅力。
LibreELECのインストール
LibreELEC(旧:OpenELEC)は「Just enough OS for KODI(KODIのためのOS)」というキャッチコピーがついたメディアプレイヤー用途に特化したLinux系OSです。
OS起動すると自動的にKODI(旧:XBMC)のホーム画面になり、KODIを起動するワンクリックを省略できるのが特徴です。
LibreELECはともかくKODIを動かすことに特化しており、それ以外の動作には制約が多いOSです。
KODI以外の用途なら後ほど紹介するArmbianがおすすめです。
LibreELECはフォーラムでAmlogic系TV box用のOSイメージファイルを入手できます。
SoCごとの一覧ページ。
[INDEX] LibreELEC community builds for Amlogic - Amlogic - LibreELEC Forum
例えばS912ならこのページです。
[8.2.2.2] LibreELEC 8.2 for S912 - Amlogic - LibreELEC Forum
まず、ダウンロードしたイメージファイルをSDカードに焼きます。
つぎに「Device trees」から仕様にあったdtbファイルをダウンロードします。
dtbファイルはイーサネットと内蔵メモリごとに中身が異なります。
ダウンロードしたdtbファイル を「dtb.img」というファイル名に変更し、SDカードのルートディレクトリに保存します。
これだけで起動ディスクが完成です。
Armbianのインストール
balbes150氏がArmbianのAmlogic向けイメージファイルを開発しています。
ArmbianのインストールもLibreELECとほぼ一緒です。
SDカードにイメージファイルを書き込み、SDカード内のdtbディレクトリから仕様にあったdtbファイルを選び、ルートディレクトリにコピーし、「dtb.img」というファイル名に変更すれば完成です。
最新版イメージファイルが告知されるスレッド
Linux Images for S802 S805 S812 S905 S905X S912 (SD USB eMMC) - FreakTab.com
現在の最新版
ARMBIAN — Yandex.Disk
トラブルシューティング情報が集まるArmbianのスレッド
Armbian for Amlogic S912 - Page 6 - TV boxes - Armbian forum
Amlogic系TV boxはラズパイ互換機の本命
中華系ガジェット界隈では、Orange piやBanana piのように、Raspberry piと似たコンセプトのSBCが多数発売されています。
ラズパイより安価な価格が魅力ですが、ソフト面の汎用性がラズパイに劣ります。
本格的に使いこなそうとすると、カーネルの継続的アップデートや環境依存する独自実装など、環境整備に余計な時間がかかってしまいます。
Amlogic系TV boxもラズパイと完全互換ではありませんが、
TV boxとして広く普及しているおかげでフォーラムも活発です。
ラズパイより高性能なSBCが欲しい、ラズパイより安くて見栄えがよいキットが欲しいという場合にはAmlogic系Android TV boxは良い選択肢だと思います。