激安中華アクションカメラはSoCで選ぶ
こんにちは。
アクションカメラのSoCとイメージセンサーを調べ尽くしたブロガー、あるばかです。
ひとくちに「中華アクションカメラ」といっても、5000円以下の激安モデルもあれば、2万円近いハイエンドモデルもあります。
色々ありすぎて、どれを選べばよいのか、迷ってしまいますよね。
高い機種ほど性能がよいのは当たり前ですが、激安モデルでもそこそこ使える機種が増えてきました。
コスパ重視でアクションカメラを購入しようと思う人のために役立つ情報をまとめました。
目次
GoProと中華アクションカメラの違い
アクションカメラといえばGoProが定番です。
GoProの特徴は画質と使いやすいさです。
画質だけなら2万円くらいの中華アクションカメラならGoProと同等レベルです。
なにせGoProと同じイメージセンサー、SoCを使っているので。
動画のタグ付け機能や充実したアクセサリーなど、総合的な「使いやすさ」は中華アクションカメラには真似ができないGoProだけの特徴です。
GoProも含めたアクションカメラの選び方全般についてはこちらの記事にまとめています。
【徹底比較】アクションカメラの選び方。最強なのはGoPro?ソニー?中華?
中華アクションカメラは「とりあえず使ってみたい」というお試し感覚、
「動画が撮れれば余計な機能は不要」と割り切る玄人にオススメです。
中華アクションカメラはコスパの良さも特徴ですが、中古の下取り価格も考慮すると、GoProのほうがトータルでは安上がりかもしれませんよ。
安いアクションカメラと高いアクションカメラの違い
5000円以下の激安アクションカメラと2万円前後の(中国製としては)高いアクションカメラの違いは何でしょうか?
答えは
「アクションカメラの価格差=部品コスト、特にSoCとイメージセンサーの違い」
です。
中国製アクションカメラは薄利多売の価格設定です。
AmazonタイムセールやGearbestのクーポンで、お買い得感は多少変動しますが、原価率が高いので、在庫処分の赤字価格でもないかぎり、価格差=部品コストの違いになっています。
Amazonやガジェットブログのレビューでは
「5000円とは思えないくらいキレイな4k画質です!!!!オススメ!」
と絶賛するクチコミも散見しますが、あれはまったくのデタラメ、ステマです。
カメラ性能を左右するSoCとイメージセンサー
5000円のアクションカメラも「それなりに」実用的ですが、
8000円のアクションカメラを上回ることはありません。
ガンダムで例えると、ザクとグフの関係です。
「ザクとは違うのだよ、ザクとは」
SoCとイメージセンサーの性能の差が、アクションカメラの決定的差なのです。
SoCとは?
SoCとはSystem-on-a-chipの略。
アクションカメラを制御する心臓部です。
いわゆる「画像処理エンジン」もSoCに内蔵されています。
安いSoCだとカメラの動作がもっさりしたり、ピンぼけ気味の画質になります。
逆に高いSoCだとサクサク動き、暗い場所でもノイズを抑えるなど高画質な処理ができます。
イメージセンサーの罠
デジカメに詳しい人は
「SoCよりイメージセンサーのほうが画質を左右するはず」
と考えがちですが、
中華アクションカメラはイメージセンサーだけで選ぶと地雷を踏みます。
部品コストをぎりぎりまで削る一方で、
競合比較でスペックを少しでもよく見せたい中華アクションカメラでは、
イメージセンサーで下駄を履かせる手法が横行しています。
いわば「イメージセンサー一点豪華主義」です。
SoCもレンズもその他すべてしょぼい部品を使いつつ、
「イメージセンサーはSony製IMXなんちゃらを採用!(ドヤッ」
という宣伝文句が典型例です。
カメラの性能はSoCと比例する
イメージセンサーより目立たないSoCはコストを削りやすい部品です。
つまり、わざわざ高性能なSoCを使っているアクションカメラはレンズなど他の部品にもそれなりにお金をかけた設計をしている、といえるのです。
実際、アクションカメラの価格とSoCのグレードは完全に比例しています。
5,000円以下の激安アクションカメラのSoCはAllwinner V3、
8,000円前後になるとNovatekやSunplusのSoC、
1万円を超えるクラスになるとAmbarellaのSoC
という住み分けになっています。
おおまかに洋服ブランドで例えると
・Ambarelle=ビームス。ナウでヤング。
・Novatek=ユニクロ。コスパ良い。
・Sunplus(iCatch)、Allwinner=しまむら。バレると恥ずかしい。
のような序列のイメージです。
SoCの性能番付
ネットに転がっているデータシートから各社のSoCの性能比較表をつくりました。
メーカー | Allwinner | Novatek | Novatek | Novatek | Sunplus(iCatch) | Sunplus(iCatch) | Ambarella | Ambarella | Ambarella |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SoC名称 | V3 | NT96650 | NT96655 | NT96660 | SPCA6330A | SPCA6350 | A12S | A9SE | H2 |
プロセッサ | ARM Cortex-A7 1.2GHz | MIPS32 24Kec 480MHz | MIPS32 24Kec 432MHz | Dual MIPS32 24Kec | 32bit 480MHz | 32bit RISC 450MHz | ARM Cortex-A9 792MHz | Dual Core ARM Cortex-A9 800MHz | Quad Core ARM Coretex-A53 1.2GHz |
ビデオ処理能力 | 1080p@60fps | 1080p@30fps | 1080p@30fps | 1080p@60fps | 1080p@30fps | 1080p@60fps | 1080p@120fps | 1080p@120fps | 4k@120fps |
発表時期 | 2015年4月頃 | 2012年9月頃 | 2013年7月頃 | 2014年頃 | 2011年頃 | 2014年頃 | 2015年頃 | 2013年頃 | 2016年頃 |
いわゆる「Apple to Apple」な(=対等な)比較はできませんが、性能が良い順にならべるとこんな感じです。
Ambarella H2 >> Ambarella A9SE, A12S >> Novatek NT96660 = Sunplus SPCA6350 > Novatek NT96655, NT96650 > Sunplus SPCA6330A > Allwinner V3
やはりアクションカメラ分野ではAmbarellaの圧倒的な強さが目立ちます。
スペック的にはAllwinner V3は「もっとできる子」なはずですが、低スペックアクションカメラでしか採用されていません。
画像処理エンジンがしょぼいのかもしれません。
予算別おすすめのアクションカメラ
それでは予算別におすすめのアクションカメラをご紹介します。
5000円以下
5000円以下の激安アクションカメラは「訳ありB級品」です。
低解像度のイメージセンサーなのに「4k/フルHD対応」を謳うのは当たり前。
SoCにAllwinnerを使っているのはまだマシなほうで、それ以下は地雷です。
メーカー | MGCOOL(Elephone) | MGCOOL(Elephone) | ドン・キホーテ | MINGCHANG |
---|---|---|---|---|
機種名 | Explorer Pro 4k | Explorer 4K | アクティブギア フルHDカメラ TAC-15S | アクションカメラ HD 1080P |
実売価格 | Gearbest: 5,000円 | Gearbest: 5,500円 | 4,980円 | Amazon: 2,500円 |
イメージセンサー |
Sony IMX179 (800万画素) |
Omnivision OV4689 (400万画素) |
Galaxycore GC1034 (100万画素) |
Galaxycore GC0309 (30万画素) |
画像処理エンジン | Allwinner V3 | Allwinner V3 | Sunplus SPCA1521 | 不明 |
手ぶれ補正 | なし | なし | なし | なし |
WiFi | 有 | 有 | なし | なし |
おすすめ度 |
★★★☆☆ (星3/5) |
★★☆☆☆ (星2/5) |
☆☆☆☆☆ (星0/5) |
☆☆☆☆☆ (星0/5) |
この価格帯だとノーブランド品が多いですが、定価8000円台の機種が在庫処分セールになったときが狙い目です。
おそらく深センで700円で売られているというノーブランド品のOEM。
特徴としてはGalaxycoreのイメージセンサーを使っていることです。
Galaxycoreのイメージセンサーはドンキのアクションカメラでも採用されています。
倒産した監視カメラメーカーの不良在庫でも出回ったのでしょうか。
こちらのサイトに詳しい分解レポートがあります。
深センのエコシステムの考察も有り興味深いです。
深センで買った700円アクションカムをバラしてみる – TYE's Tech. Lab.
ドンキで売っている5000円くらいのアクションカムをバラしてみる – TYE's Tech. Lab.
8000円前後
8000円前後になると、NovatekやSunplusなど、それなりのSoCを採用したカメラが手に入ります。
「GoProよりずっと安くて、画質も悪くない」
という中華アクションカメラの得意ゾーンです。
メーカー | Hawkeye | EKEN | SJCAM |
---|---|---|---|
機種名 | Firefly 7S | H9R | SJ4000+(plus) |
実売価格 | Gearbest: 7,000円 |
Gearbest: 4,500円 Amazon: 8,500円 |
Amazon: 10,000円 |
イメージセンサー |
Sony IMX078 (1200万画素) |
OmniVision OV4689 (400万画素) |
OmniVision OV4689 (400万画素) |
画像処理エンジン | Novatek 96650 | Sunplus SPCA6350 | Novatek 96660 |
手ぶれ補正 | 電子式 | なし | 電子式 |
おすすめ度 |
★★★☆☆ (星3/5) |
★★★☆☆ (星3/5) |
★★☆☆☆ (星2/5) |
EKEN H9Rはおまけのアクセサリーが充実していて、無線式リモコンまで付属。
MUSONやAKASOなど数多くの中華ブランドにもOEM供給されています。
Amazonでは8500円で販売されていますが、それでもアクションカムカテゴリの売上1位です。
SJ4000シリーズも大ヒットしたGoProクローンの定番モデル。
SJ5000、SJ6、SJ7と後継機種が発売されましたが、AmazonではSJ4000もいまだに人気です。
15,000円前後
最近は中華アクションカメラも高級志向が進んでいます。
この価格帯になるとSoCはAmbarellaが鉄板です。
WiFiや電子式手ぶれ補正も当たり前に搭載されています。
それに加えてイメージセンサーやレンズ、リモコンなどで付加価値を競う状況となっています。
メーカー | ThiEYE | SJCAM | SJCAM | SJCAM | Xiaomi | Yi(Xiaomi) | Yi(Xiaomi) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
機種名 | T5e | SJ5000X Elite | SJ6 Legend | SJ7 STAR | Mijia Camera | YI II 4k | YI 4k+(plus) |
実売価格 | Gearbest: 13,000円 |
Gearbest: 12,000円 Amazon: 14,000円 |
Gearbest: 13,000円 Amazon: 18,000円 |
Gearbest: 17,000円 Amazon: 28,000円 |
Gearbest: 13,000円 |
Gearbest: 33,000円 Amazon: 19,000円 |
未定 |
イメージセンサー |
Sony IMX117 (1200万画素) |
Sony IMX078 (1200万画素) |
Panasonic MN34110PA (1400万画素) |
Sony IMX117 (1200万画素) |
Sony IMX317 (800万画素) |
Sony IMX317 (1200万画素) |
Sony IMX317 (1200万画素) |
画像処理エンジン | Ambarella A12LS75 | Novatek 96660 | Novatek 96660 | Ambarella A12S | Ambarella A12S75 | Ambarella A9SE75 | Ambarella H2 |
備考 |
・リモコン対応 ・タッチスクリーン |
・F2.5レンズ ・リモコン対応 ・タッチスクリーン |
・7層レンズ ・タッチスクリーン |
・F2.8 7層レンズ ・タッチスクリーン |
・F2.8 7層レンズ ・タッチスクリーン |
||
おすすめ度 |
★★★★☆ (星4/5) |
★★☆☆☆ (星2/5) |
★★★★☆ (星4/5) |
★★★☆☆ (星3/5) |
★★★☆☆ (星3/5) |
★★★☆☆ (星3/5) |
★★★☆☆ (星3/5) |
5000円以下の激安アクションカメラと比較すると割高に感じますが、
5万円するGoProやSonyに比べると格段にお値打ちです。
ThiEYE T5eは高級部品を採用しつつ、価格を抑えた中華ガジェットの王道スタイル。
SJCAM SJ5000X Eliteはリモコンが不要なら圧倒的にお買い得です。
「レジェンド(伝説)」と名付けたわりに後継SJ7があっさり登場。
SoCやイメージセンサーが二流品なのが残念ですが、SJ6から生活防水のリモコンに対応しています。
動画、写真、連射をボタンで使い分けできるのがグッド!
あくまで生活防水なのでプールや海では厳しそう。
GoProクローンの最右翼SJCAMの最新モデル。
タッチスクリーンの軽快さはGoPro HERO5を越えているとの評価も。
SJ7もGearbestのほうが安いです。
Xiaomiブランドは知名度が高いせいか、GearbestとAmazonの価格差が反転することもしばしば。
Amazonで購入できる中華アクションカメラのなかではXiaomi YIが一番。
どこで買うのがオススメ?Amazon?Gearbest?
価格重視ならGearbestのほうがAmazonより安いです。
アクションカメラは頻繁に値引きクーポンやセールが行われています。
すぐに欲しいときはAmazon Primeが便利です。
Amazon Primeなら不良品が届いた場合もすぐに返品できるので、万が一のときも安心感があります。
まとめ:大躍進する中国・台湾企業
中華アクションカメラについて調べてみると、ロシアや東南アジアなど世界中の国々に販路を広がっていることに驚きました。
カメラは日本企業の得意分野と言われていますが、アクションカメラは中国・台湾企業の独壇場となりつつあります。
たとえばSoCはすべて台湾系です。Ambarellaは米NASDAQに上場していますが、創業者の Fermi Wang氏は台湾生まれです。
カメラ本体の製造(EMS)は中国 深セン。
そして販売はGearbestを始めとした中国拠点の通販サイト。
Gearbestはサンプルを積極的にばら撒く作戦で、世界中のブロガーやYoutuberからレビューを集めています。
こういうゲリラ的なプロモーションはB2Bでは通用しないと思われがちですが、技術力やサービスの質がもう1段階成長したら既存企業にとって変わる存在になりそうです。