XiaomiのAIスピーカーを使ってみた。恐るべき「眠れる獅子」だった。
XiaomiのAIスピーカー「Mi AI Speaker」(小米智能音箱)を買ってみました。
日本国内では取り扱いがないマニアック商品につき、毎度おなじみGearbestで買いました。
お値段はおよそ1万円なり。
Mi AI Speakerの対応言語は中国語のみ。
日本語はおろか、英語も未対応です。
しかしながら、この一台から電機業界のあれやこれやが垣間見えてきます。
いざ、妖しき中華ガジェットの世界へ・・・
目次
なにができるの?
「Mi AI Speaker」はその名の通り、AI搭載したスマートスピーカーです。
ようはGoogle HomeやAmazon Alexaの中国版です。
活用例をコミカルに紹介したプロモーションビデオがこちらです。
- 音楽再生を音声でコントロール
- タイマーやリマインダーを音声で設定
- 中国語でAIと会話
他との比較
Xiaomi AI SpeakerとGoogle HomeやAmazon Alexaと比較すると、こんな感じです。
音質
筐体が大きいだけあって、音質はXiaomi AI Speakerが1ランク上です。
特に低音の迫力や音量を上げたときの差が顕著です。
Google HomeやAlexaは、音楽再生なら外部のオーディオシステムと連携するのがメイン想定だと思いますが、Xiaomi AI Speakerは単独でも聞ける音質になっています。
音質やサイズ感はHomePodに近い位置づけで、でもHomePodよりずっと安い、いわば現代版のラジカセなのです。
機能
「できること」はGoogleもAmazonもXiaomiもAppleも同じです。
でも「プラットフォーム」は各社各様です。
Google Assistant、Chrome Cast、Amazon Alexa、Homekitなど各社、自分のエコシステムにしか対応していません。
Home Assistantのようなブリッジサーバを自前で準備すれば、垣根を超えることもできますが、それでも使いづらさが残ります。
中華ガジェット生まれのXiaomiにこそ、GoogleやAmazon、Appleと無理やり連携できる怪しげな機能を期待しましたが、駄目でした。
APIもないし、Home Assistantでハックするネタもありません。
多言語対応など、今後のアップデートに期待します。
AIの賢さ
びっくりしたのがAIの賢さです。
XiaomiのAI(小愛同学)は、AlexaやGoogle Homeより、ずっと自然な印象です。
XiaomiのAIがナチュラルに感じる理由は3つあります。
1つはAIの声優です。
思いっきりアニメ声に寄せています。
生身の人間っぽいアナウンサー声より、無意識に2次元キャラを連想するアニメ声のほうがAI向きだと気づきました。
2つめが中国語の発音です。
合成音声っぽさは多少ありますが、かなり自然にチューニングされています。
XiaomiはMicrosoftのCortanaを使っているという噂です。
Xiaomi To Release Cortana Smart Speaker Following AI Deal With Microsoft - Gizmochina
3つめが耳の良さです。
環境雑音の強さはピカイチでした。
テレビや音楽を別のスピーカーでガンガンならしていても、かなり敏感かつ正確に聞き取ってくれました。
調べてみると、Mi AI Speakerは6つのマイクを使ってビームフォーミングしているそうです。
Amazon Alexaもビームフォーミングをアピールしていますが、実際に使ってみるとビームフォーミングしていないGoogle Homeと大差なかったので、Mi AI Speakerの耳の良さは驚きでした。
比較動画
実物の比較動画も紹介します。
感想
一言でいえば、Mi AI Speakerは「眠れる獅子」です。
非常に高いポテンシャルを秘めていますが、いまは中国語限定で海外ユーザーにとっては手が出し辛い製品です。
グローバル展開したときには、ソニーやパナソニックなどGoogle互換AIスピーカーを発売する家電メーカーにとって大変な驚異になるでしょう。
ここがイマイチ(´・ω・)
対応言語が中国語だけなのが残念すぎます。
海外勢がハックするモチベーションにもなるから、せめて英語版は用意してほしかったところ。
Cortanaベースなら近いうちに多言語対応のアップデートも期待できる?
ビジネスモデル的にありえない?
対応するプラットフォームがXiaomi限定なのも残念なポイントです。
GoogleやAmazonのプラットフォームとブリッジする機能が充実することを期待します。
「囲い込み」がキモのビジネスモデルなので、Xiaomiが仕様オープンにする期待は薄いですが・・・
デザインは可もなく不可もなく。
Xiaomiの空気清浄機っぽいデザインです。
ここが良い(・∀・)イイ!!
Xiaomi製品らしくコスパ抜群です。
1万円でこの音質、マイク性能のスマートスピーカーが実現できるとは、ただただ驚きです。
分解情報
- ACアダプタの定格は12V 1.75A
- 2.25インチ フルレンジスピーカー 1ch、32インチ パッシブラジエーター 2ch
- 電源チップはリコー RN5T567J
- オーディオアンプはTI TAS5760L
- Bluetooth/WiFiチップはBCM43458NKRFBQ
- フラッシュメモリは256MB、Macronix MX30LF2G18AC-TI
- SoCはAmlogic A112
- DRAMは128MBのNanya NT5CC64M16GP-DIが2個
- タッチコントローラはCypress CY8C4045LQI
考察:シャオミは離陸目前か?
なぜシャオミのAIスピーカーは中国語のみで、英語に対応しないのか?
答えは単純で、シャオミはグローバルではGoogle HomeやAmazon Echoに勝てないから。
そして逆に、中国市場は外資規制でめちゃくちゃ旨味があるからです。
IT業界の台風の目であるFANG(Facebook,Amazon,Netflix,Google)は、いずれも中国国内では規制されており、中国企業の草刈場になっています。
これで成功した例がスマホ産業で、二匹目のドジョウを狙っているのがEVです。
さしずめ三匹目のドジョウといえるのが「Mi AI Speaker」のようなスマートスピーカーやスマートホーム分野です。
当初、スマートホーム分野の中華ガジェットといえば、このブログでもおなじみのBroadlinkのスマートリモコンのように「激安!」を売りにした製品が中心でした。
しかし今回の「Mi AI Speaker」は違います。
驚異的なコスパは健在ですが、けっして廉価機種ではありません。
Xiaomi Gatewayや照明、ロボット掃除機、空気清浄機、炊飯器など各種白物家電のエコシステムで完全武装しています。
かつて松下電器がHALSで見せてくれた夢をXiaomiが手の届く現実にしようとしています。
中国市場で使いやすさを洗練させた暁には必ずやグローバル展開されるはずです。
いまだに日本国内では「つながらない」家電が当たり前のように新発売されていますが、スマート家電の夜明けは違いぜよ!
結論。スマート家電の夜明けを先取りしたいなら、中国語を勉強して、小米智能音箱を買いましょう。中国語会話の練習にも役立ちます。