おばかさんよね。

AirpodsがBluetooth使わずに左右同期できる仕組み

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公開日:  更新日: 2018/02/10

Bluetoothを使ったワイヤレスイヤホンをよく見かけるようになったが、
Appleの新しいAirpodsは左右のイヤホンをつなぐケーブルすらない。
いったいどんな技術で左右独立完全ケーブルレス(ワイヤレス)を実現しているのか?

Airpodsの仕組み

アップルの発表によるとAirpodsはW1というカスタムチップらしいが、どうやらこれはNXPという半導体会社のNFMI(近距離磁界誘導)という技術を採用しているらしい。
新型iPhone7以外でも使えるようにスマートフォンとAirpodsはBluetoothで接続し、Aipordsの左右のユニットはNFMI方式でつながっている、というわけだ。
Bluetoothでは左右のユニットに同時にオーディオデータを送れないので、まず片方のイヤホンで受信してから、左右のイヤホンが同期を取って再生するという複雑な仕組みになっている。

イヤホンの完全ワイヤレス化が難しい理由

EARINのように無理やりBluetoothを使って実現することもできるが、バッテリーの持ちが悪くなる、ステレオ感がズレるなど、コストがかさむわりにデメリットが多い。だからこれまではシンプルに左右のユニットはケーブルでつなげざるをえなかった。

今後の予想

左右ワイヤレスはまだまだ技術的な課題が多いが、アップルの神通力でどこまでヒットするのか、とっても気になるところだ。
かつてMDが牛耳っていた市場をiPodで根こそぎ奪ったように
「ワイヤレスじゃないイヤホンとかマジ信じらんなーい」
と渋谷のギャルがつぶやく日がくるのかもしれない。

フツーに考えるとBluetoothの規格が進化して技術的課題が解消されるまではキャズムを超えることはないかもしれない。ぱっと思い浮かぶ課題はこんな感じ。

  • NXPの独占方式だとコストが下がらない。パテントフリーな代替方式が必要。
  • 音質が悪そう。ハイレゾブームで高音質嗜好が高まっているのは逆風。
  • 充電が面倒。専用ケースは持ち運びが不便。Qiは大きなコイルが必要で不向き。新しい非接触充電が必要。

続々と発表されたケーブルレスイヤホン

EARINがクラウドファンディングでバズったせいか、似たようなケーブルレスイヤホンが増えてきた。
Airpodsの発表で、これから急ピッチで開発し始めるメーカーもいそう。後出しジャンケンのビジネスモデルで躍進しているAukeyとかAnkerとか。

オンキョーのW800BTはBluetoothで左右を接続する力技タイプ。老舗として音質やステレオ感をどこまで高めてくるのか、楽しみ。

ドイツのBragi社 THE DASHはNXPを採用。Bluetoothじゃないから水中でも使えるそうな。スマホとBluetoothなのにどうして?と思ったらイヤホン自体に曲をメモリできるようだ。

EARINはケーブルレスイヤホンの(たぶん)元祖。使いやすさはともかく、一番最初に製品化を実現させたコンセプトのプレゼン力が素晴らしいと思う。

参考

「EARIN」に見る革新と課題
AirpodsのキーデバイスはNXPか

Appleの新しいカスタムチップ3種を考察

ある情報筋は、近距離磁気誘導方式が採用されているのではないかと見ているようだ。これは、過去10年にわたって補聴器に使われてきた成熟技術である。現在は、NXP Semiconductorsの半導体チップにおいて、少なくとも2台のデバイスを同期させるために採用されている。