2018年、アクションカメラのトレンド予想
2018年に向けてアクションカメラがどう進化していくのか?
これからのトレンドを予想してみます。
概要
2017年のアクションカメラ市場で3つのトレンドが生まれています。
- ハードよりソフト重視
- 360°VRカメラ
- AIの搭載
ソフト重視により、開発力が乏しい中華アクションカムは淘汰が進むでしょう。
また360°全周カメラが実用的な品質・価格になり、いよいよ普及が進みそうです。
360°全周カメラでは複数のカメラ映像をつなぎ合わせるスティッチ処理の巧拙が重要スペックとなるでしょう。
AI搭載カメラも注目すべきトレンドです。
AIはプロセッサ業界に破壊的イノベーションを引き起こすでしょう。
ソフト重視で中華アクションカムは淘汰
いまやフルHDが録画できるのは当たり前です。
高性能カメラなら4k動画だって録画できます。
しかしほとんどの撮影シーンで4kは過剰です。
そもそも4k対応のディスプレイ自体が少数派です。
これからのアクションカメラは、5万円クラスのハイエンドはもちろん、1万円前後のローエンドでも、ソフトの良し悪しで選ぶ傾向になるでしょう。
具体的には操作のレスポンス、電子式手ぶれ補正の効果、露出やコントラストの自動調整、アプリの安定性、熱ダレしないで安定していること等々。
こうなると部品を組み立てるだけで開発力が乏しい中華アクションカムメーカーは自然と淘汰され、生き残る中華アクションカムメーカーはXiaomiやSJCAMのように独自設計できるメーカーに絞られてくると予想します。
360度VRカメラ
リコーのThetaやInsta360、GoPro Fusionなど360度VRカメラ注目されています。
プロモーションビデオではうまく隠していますが、よく見ると、どちらもスティッチ(カメラとカメラの継ぎ目)に違和感があります。
いかに違和感がない高精度なスティッチを実現するかが各社の開発競争のポイントになると予想します。
AIの搭載
AIを搭載すれば、ビデオカメラの撮影しっぱなし問題を解決する画期的な技術となります。
ハイライトシーンを人工知能が自動的に判別し、あなたのために編集作業をすませてくれるようになります。
人工知能ほどではないですが、ビデオの自動編集機能は以前からありました。
第1世代は簡易的な画像処理によるもので、検出精度はよくありません。
ソニー、カシオ、GoProなどがソフトとして提供しています。
第2世代はセンサーフュージョンで精度を向上させたものです。
例えばGoPro HERO6は顔認証とジャイロセンサーを使っています。
第3世代がAIです。
ディープラーニングによって認識率を高めているのが特徴です。
映像処理用の高性能なAIは消費電力がバカ食いするため、AIはクラウド側が当面は主流と考えていましたが、カメラ本体にAIを搭載するエッジ(端末)側のソリューションも登場しました。
DJIの廉価ドローン「Spark」やGoogleのウェアラブルカメラ「Google Clips」で、インテルの省エネ型AIチップ「Myriad」が採用されています。
高速・低消費電力なAIチップを実現するには、従来とは異なるアーキテクチャのプロセッサが必要になります。
自動車用プロセッサで新参者だったNVIDIAが自動運転ブームで一気に頭角を現したように、デジカメ用SoCの世界でもAIプロセッサの出来栄えが半導体メーカーのシェアを大きく左右するかもしれません。
低消費電力用途のAIチップではIntelがリードしています。
AIの雄であるNVIDIAはGPUベースで消費電力が高いため、モバイル用途とは距離を置いているように見えます。
Ambarellaもマシンビジョン用チップ「CV1」を開発し、Intelを追走しています。
また、SoCの主戦場であるスマホ市場でもAppleやHuawei等、AI搭載がトレンドになっています。
ARMもディープラーニングに最適化した技術「DynamIQ」を発表しており、各社大混戦となっています。
SoC各社の比較表
アクションカメラ用SoCの代表製品の特徴を比較しました。
巨人組 | ||
---|---|---|
メーカー | NVIDIA | Qualcomm |
SoC |
Tegra X2 (コードネーム:Parker) |
Snapdragon 625 (APQ8053) |
製造プロセス |
16nm (TSMC/サムスン) |
14nm LPP (サムスン) |
CPU | Denver2 2GHz 2コア+Cortex-A57 2GHz 4コア | Cortex-A53 2GHz 8コア |
GPU | CUDA Pascal 256コア | Adreno 506 |
動画エンコード | H.265 4k 60fps | H.265 4k 30fps |
特徴 |
・監視カメラおよび業務用ドローン向け ・消費電力:7.5W以下 |
スマホ向け |
採用例 | Jetson TX2モジュール | Ricoh Theta V |
発表時期 | 2016年8月頃 | 2016年2月頃 |
アクションカメラ組 | ||
メーカー | Ambarella | ソシオネクスト |
SoC | H2 |
Milbeaut SC2000 (GoProカスタム:GP1) |
製造プロセス | 14nm |
28nm (TSMC) |
CPU | Cortex-A53 1.2GHz 4コア | Cortex-A7 650MHz 4コア |
動画エンコード | H.265 4k 60fps | H.265 4k 30fps |
採用例 | Xiaomi Yi 4k+ | GoPro HERO6 |
発表時期 | 2017年1月 | 2017年7月 |
AI組 | ||
メーカー | Intel(Movidius) | Ambarella |
SoC | Myriad X | CV-1 |
製造プロセス | 16nm | 詳細不明 |
CPU | LEON4 2コア | 詳細不明 |
動画エンコード | H.265 4k 30fps | 詳細不明 |
特徴 | 16個のベクタープロセッサ搭載 | 詳細不明 |
発表時期 | 2017年8月 | 2018年予定 |
NVIDIAはモバイル向けは撤退済み。
Qualcommはスマホ本命ですが、カメラ性能も超優秀。
Ambarellaは低消費なビデオ圧縮が強み。
ソシオネクストはカスタムメードの職人芸。
インテルはAIでアプローチしてくるダークホース。
さてさて、この先どうなっていくのか、楽しみであります。
参考
image process engine – XueMing
Ricoh Theta S 360° Camera Teardown
リコー シータの分解情報
Google Clips Captures and Curates Life’s Meaningful Moments Autonomously with Intel’s Movidius VPU Inside | Intel Newsroom
Google Clipsにはインテル入ってる。
Intel Announces Movidius Myriad X VPU, Featuring ‘Neural Compute Engine’
Movidiusチップの性能比較
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