テスラとパナソニックの社運をかけたギガファクトリー構想
テスラ(Tesla)とパナソニックが共同出資する世界最大のリチウムイオン電池工場「ギガファクトリー」がついに動き出した。巨大プロジェクトの最新状況をまとめた。
新型2170セル
ギガファクトリーでは「2170」(直径21mm x 長さ70mm)の大容量セルを生産する。これは現在主流の「18650」より1回り大きいサイズになる。
2170セルもテスラらしい大胆な賭け。大容量の円筒型セルがEVの低コスト化を実現できるとにらみ、デファクトスタンダードの「18650」規格を捨てる選択だ。ギガファクトリーの稼働率を維持するにはモデル3だけでなく、2170セルの外販も必要不可欠なはず。
LGやサムスン、中国勢も設備投資と値下げで攻めてくるなか、新型2170セルで迎え撃つことができるのか、とても気になるトピックだ。
ギガファクトリーはセルの大容量化、大量生産によるスケールメリット、セルから電池パックの一貫生産によってバッテリーパックのkHwあたりコストを30%以上削減できる計画だという。
モデル3の生産計画
モデル3は発売前にもかかわらず37万台以上の予約を獲得している。そこでテスラはモデル3の量産拡大を前倒しする計画だ。
トヨタとGMの合弁工場「NUMMI」を格安で買い取り手に入れた、カリフォルニア州のフリーモント工場のEV生産能力を2018年までに年間50万台に高める。
2019年以降はギガファクトリーでの完成車生産も検討するとコメントしている。すでにモデル3のDrive Unit(駆動ユニット)、モーターなど主要モジュールをギガファクトリーで生産することが決まっている。
スケジュール
- 2014年、着工
- 2017年1月4日、稼働開始。リチウムイオン電池セルの生産を開始
- 最初は家庭用蓄電池「パワーウォール2(Powerwall 2)」と業務用蓄電池「パワーパック2(Powerpack2)」向けに供給する
- 本命であるモデル3(Model 2)向けの供給を2017年半ばからスタートさせる計画
生産能力
現在は全体の30%が完成した段階。生産能力を順次拡大し、2018年までに生産能力を35GWhにする計画。
テスラによると35GWhとは全世界で生産されるリチウムイオン電池の総量に匹敵するという途方もない規模で、世界最大のリチウムイオン工場となる。
工場の所在地はアメリカ ネバダ州。現時点で敷地面積17.6万平方メートル、延床面積45.5万平方メートル。まだ70%の拡張余地がある。イーロンによると「ペンタゴン(米国防総省本部ビル)の3倍以上のサイズ」だという。
投資計画
ギガファクトリーの総投資額は約50億ドル(6000億円)
うちパナソニックの出資額は2000億円程度といわれている。