おばかさんよね。

EVは本当にエコカー?Well to Wheelだと結局、行き詰る。

公開日:  更新日: 2018/02/19

そもそもEVって本当にエコなのか?
おばかさんなりに考えてみました。

前提:環境負荷=CO2排出量

CO2排出量にしぼって議論されることが一般的です。

環境問題といえば地球温暖化、
温暖化の原因といわれる温室効果ガス(GHG)といえばCO2、
というわけでCO2削減が世界共通のコンセンサスです。

本来は様々な視点で環境負荷を考えるべきですが、
そうすると議論に収集がつかなくなるので、
便宜上、仕方なくCO2排出量に限定しているという前提を忘れてはいけません。

Tank to WheelからWell to Wheelへ

「EV=エコカー」というイメージは「Tank to Wheel(タンクから車輪)」に限定した話です。
Tank to Wheel、つまり走行中の燃費だけに注目すると、EVは排ガスを出さないエコカーで間違いありません。
しかし発電するために石油や石炭を燃やすので、実質的にはEVもCO2を排出しています。
このようにエネルギー源までさかのぼる考え方を「Well to Wheel(油田から車輪)」と呼びます。

カリフォルニア州のZEV(ゼロ排ガス車)規制が「Tank to Wheel」発想の典型例です。
プリウスのようなHVはエコカーとはみなされず、EVやPHEVのみがエコカーに分類されます。
環境保護の名目で、なぜかテスラのようなマッスルEVに補助金が支給されるわけです。

Well to Wheelの欠点

Tank to WheelよりWell to Wheelのほうが正しい考え方であるのは明らかです。
しかしWell to Whellでエコカーを議論すると、とても不都合なポイントが2つあります。

正確なCO2排出量が分からない

Well to Wheel方式でEVのCO2排出量を算出するのは非常に困難です。
不明なパラメータが多すぎて、フェルミ推定を駆使するにしても限界があり、
コンサル会社が好き勝手言いたい放題なのが現実です。

ざっと思いつくだけでも、こんなにたくさんのパラメータがあります。
・石炭、石油、原子力などの発電手法の構成比
・発電効率
・送電効率
・EVの充放電効率

Well to Wheel方式で厳密な比較はできないので、
こんな感じでざっくりした結論しか得られません。
・100%石炭発電だと、EVもガソリン車と同じ程度、CO2を排出する
・実際は火力発電以外も組み合せているから、やっぱりEVのほうがエコじゃない?
・原発推進派のフランスや中国でEV普及するとCO2削減効果が大きい

原発問題

そしてWell to Wheelで議論すると原発問題に行き着きます。
ガソリン車をEVに置換えたときのCO2削減効果は、火力発電の割合に依存するからです。
風力や太陽光など再生可能エネルギーだけでは電力需要は賄えないので、
原子力発電を受け入れないと「EV=エコ」とは断言できないのです。

視点を変えて考えてみる

「原発あればEVはエコカー?エゴだよ、それは!」
調子乗ってガンダムのアムロみたいなことを言ってしまいました。

Tank to WheelともWell to Wheelとも違う視点で自動車の環境問題を考えてみます。

ライフ・サイクル・アセスメント

LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)とは、モノが作られてから捨てられるまでの環境負荷に着目する考え方です。

LCA的にはEVはガソリン車に劣ります。
リチウムイオン電池を作るはたくさんのレアメタルや化学品が必要だからです。
電池をリサイクルする仕組みも、これから整備が必要です。

EVが本当のエコカーになるためには、バッテリーの素材革新やリサイクル技術など、まだまだ宿題が山積みです。

輸送効率

移動手段(モビリティー)として考えると「相乗り」が一番てっとりばやく環境負荷を下げる方法です。
EVのCO2削減効果をあーでもない、こーでもないと議論するより、
カーシェアやライドシェアサービスの普及のほうがずっと効果的なのです。
ちゃんちゃん♪

参考:
Well to Wheelでも優位、EVは環境規制対応のカギ | 日経 xTECH(クロステック)
電気自動車の「不都合な真実」 - おばかさんよね。