おばかさんよね。

テスラが自動運転でAMDと連携する本当の目的は・・・

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2017/10/08

て、てえへんだ!
NVIDIA陣営のテスラが水面下でAMDと握ってたってよ!!!
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こんにちは。
投資ブログ界のNVIDIAウォッチャー、あるばかです。

テスラがAMDと連携してカスタムチップを開発しているというスクープが入ってきました。
テスラはNVIDIA依存度を下げることが目的というあさはか解説もありますが、うさんくさいですね。
もしAMDとの提携話が真実なら、もっと戦略的な狙いがあるはず。
だってイーロン・マスクですから。

というわけで、独自の視点でニュースの深層を読み解きます。

テスラが自動運転用チップでAMDと連携か?

米国時間9月20日、米 CNBCは「テスラがAMDと提携し独自の自動運転用AIチップを開発している」とスクープしました。

要点はこんな感じです。

  • 最初の試作チップはすでに完成しており、テスラが評価している最中
  • テスラの内製チップはAMDのIPライセンスを利用
  • テスラの内製チップの開発責任者は元AMD出身のカリスマ的半導体設計者 Jim Keller(ジム・ケラー)氏
  • AMDからスピンオフしたファウンドリ(半導体製造受託)のGLOBALFOUNDRIES社のCEOが「テスラと直接取り引きしている」と20日に発言
  • テスラは本件についてノーコメント
  • GLOBALFOUNDRIES社は「テスラと直接取り引きしている」という報道は事実と異なるとコメント
  • このニュースでNVIDIA株が急落、AMD株が高騰

GLOBALFOUNDRIESのCEOがうかつな発言をするとは思えず、CNBCの飛ばし記事ではないかという印象もあります。
しかし火のない所に煙は立たないといいますし、色々と勘ぐりたくなるのが人情です。

NVIDIAへの影響は?

このニュースでNVIDIA株が下がったのは明らかに過剰反応です。
逆に言えば、ちょっとした懸念で株価が急落するくらいNVIDIA株は期待過剰のバブル水準になっていると思います。

大前提として、自動運転・AI分野でNVIDIAのディープラーニング技術の強さは圧倒的です。
NVIDIAについて詳しくはこちら。
NVIDIAの自動運転技術はなにがスゴいのか - おばかさんよね。

いくら稀代の天才 Jim Kellerといえども、NIVIDAのDRIVE PXを置き換えるようなシステムを開発できるとは思えません。

「自動運転用AIチップ」はミスリード

「自動運転用AIチップ(原文: A.I. chip for self-driving cars)」という表現がクセモノです。
まるでテスラがNVIDIAのSoC「Tegra」や「Xavier」に相当する高性能チップを開発するような印象を持ちますが、きっとこれはCNBCの罠です。

自作パソコンのCPUとはワケが違うので、DRIVE PXのプロセッサをNVIDIAからAMDに置き換えるような芸当は無理です。

制御系プロセッサを手がける?

テスラが制御系プロセッサを内製する可能性はどうでしょうか?

テスラはNVIDIA DRIVE PXをいち早く量産採用し、先進的な自動運転技術を実現しました。
しかしNVIDIAが自動運転のデファクト・スタンダードとなっている現状で「他社よりいち早く採用した」というだけでは、もはや差別化になりえません
より高度な自動運転を実現するために、自動車メーカーがハードウェアレベルで独自のアレンジを加えるというアプローチが考えられます。

たとえばAudiのADAS制御ECU「zFAS」はNVIDIA「Tegra K1」のほかにも、複数のプロセッサを搭載したシステムになっています。
「zFAS」は周辺監視をNVIDIA「Tegra K1」、前方監視をモービルアイ(インテル傘下)の画像処理IC「EyeQ3」、ミッションクリティカルな判断をInfineonのマイコン「Aurix」、画像処理ICとマイコンのブリッジをAltera(現:インテル傘下)のFPGA「Cyclone」といった具合に役割分担させています。

テスラがAudiと同じようなアプローチをとる可能性はあると思います。
しかし制御系プロセッサを内製する可能性は極めて低いでしょう。
InfineonのマイコンやAlteraのFPGAに相当するプロセッサは各種用途に応じた汎用品が豊富にあり、わざわざ内製するメリットがないからです。

たとえばInfineonやルネサスと提携して、セミカスタムチップを開発する程度ならありえるかもしれません。
が、よりによって車載実績の少ないAMD機能安全に関わる制御系プロセッサを共同開発するのはあまりに非現実的です。

参考

アウディ、自動運転機能を搭載する同社の量産車に、アルテラの SoC FPGA を採用
TTTechとインフィニオン、自動運転分野の開発を加速へ - Infineon Technologies
Why Audi’s zFAS is a blueprint for next-gen domain architectures | EETE LED Lighting
車載半導体:自動運転車内におけるイーサネットのデータ伝送をプログラマブルSoCで実現 - MONOist(モノイスト)

本当の目的

ずばり、テスラがAMDと独自チップを共同開発する本当の目的はインフォテイメント用途でしょう。
インフォテイメントとはカーナビやオーディオなど情報機器の総称です。
IVI(In-Vehicle-Infotainment)とかHMI(Human-Machine-Interface)とも呼ばれる分野です。

テスラ モデルSのHMIは17インチの巨大タッチスクリーンが特徴です。
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特徴的なセンターインフォメーションディスプレイとメータークラスターの2つのディスプレイで構成されており、それぞれにTegraプロセッサが1個づつ搭載されています。

テスラのインフォテイメントはデザインが近未来的ですが、使い勝手の評判はいまいちです。

NVIDIAの立場からみると、インフォテイメント用プロセッサの優先度は低いはずです。
インフォテイメント分野はルネサス「R-Car」やフリースケール(NXP、Qualcomm傘下)「i.MX」の牙城だからです。

自動運転に注力して大手自動車メーカーに採用してもらいたいNVIDIAと、
インフォテイメントを洗練させたいテスラの方向性のズレがあり、
ぴったりハマるのが専用プロセッサを内製するというアイデアです。

インフォテイメント用プロセッサはAMDのテクノロジーとも親和性が高い分野です。
すでにインテル「Atom」、Qualcomm「Snapdragon」、サムスン「Exynos」などPCやスマホ向けプロセッサが続々と車載参入していることから分かる通り、性能さえ良ければ何でもアリな世界です。

Jim KellerがAMD時代に設計したアーキテクチャ「ZEN」は、AMDの最新CPU「Ryzen」シリーズで2017年3月から発売され、インテルCPUを上回るパフォーマンスだと自作PC界隈でちょいとしたブームを巻き起こしました。

テスラに移籍したJim Kellerが「ZEN」アーキテクチャを利用した車載インフォテイメント用プロセッサを開発するという予想、いい線いってるのじゃないでしょうか???

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