ARMのIoT覇権に待ったをかけるRISC-V
ARM対抗馬、ライセンスフリーのRISC-Vの注目度が上がってきている。
パソコンの覇者インテルがスマホでARMに主導権を奪われたように、IoTではARMが第三勢力に負ける日がくるかもしれない。
目次
サムスンが内製SoCでRISC-V採用を検討
サムスンはRISC-Vを採用した自社SoCを開発中だという。サムスンが自社開発したSoCといえばGalaxy S7に搭載されたexynosだが、RISC-Vを検討しているのはスマホ向けではなく、IoTデバイスとの噂。
Samsung Defection From ARM to RISC-V.
あくまで噂
SifiveがRISC-VベースSoCを製品化
サンフランシスコのファブレス企業 SiFiveはRISC-VベースのSoC FE310(Freedon Everywhere 310)を発表した。FE310を搭載したArduino対応開発キットHiFive1の販売予定価格は59ドル。FE310はARM M0よりおよそ2倍のワットパフォーマンスを実現できるという。TSMC 28nmプロセスで製造されている。
Open Source SoC Debuts | EE Times
エコシステムの充実が進む
プロセッサIPベンダーのBaysand社、Codasip社、Codeplay社、UltraSoC社の4社はRISC-V ISAに対応した開発プラットフォームの提供を発表した。4社はそれぞれに協力することで、低予算で効率的なIoT向けASICの開発プラットフォームの整備が進むことになる。
BaySand working with Codeplay, Codasip, UltraSoC to accelerate IoT dev
低負荷、低消費がカギ
パソコン、スマホ、IoTではプロセッサに要求される消費電力対性能がまったく異なる。IoTではスマホ以上に消費電力が重視され、逆に性能はそこそこで問題ない。
重要特性の変化はゲームのルールチェンジを意味する。パソコンはWindowsとインテル、スマホはandroidとARMといった具合に市場ごとにデファクトスタンダードが異なる理由はここにある。
ARMとてIoT市場を狙ってはいる。しかしモバイル市場の成功があしかせとなり、IoTへの取り組みが遅くなる可能性は否めない。
そうこうしているうちにルールチェンジを敏感に察知した第三勢力が重要性能に割り切った製品を投入して、新たなデファクトスタンダードの王座を獲得することになる。
ソフトバンクはARMを育てられるか
スマホSoCで圧倒的なシェアを握るARMは勢いそのままにIoT市場も独占できるのだろうか。本気でIoTを取りに行くならスマホを捨てるぐらいの覚悟が問われるが、どうか。スマホSoCのうまみに釘付けになっていそうだが…ARMを買収したソフトバンクの経営戦略にしても、半導体業界の土地勘があるとはおよそ思えない。
ADSLモデムを街で配ったときのように奇抜なプロモーションが飛び出てくるかもしれない。デファクトスタンダードの位置を獲得するためにARMのライセンス料をIoTに限って値下げするとか。ソフトバンクショップでIoTデバイスを販売したり、通信回線を優先的に提供したり…なんでもありの抱き合せ商法に打って出てくるかもしれない。
日本企業のマイコンアーキテクチャ
特定用途のマイコンアーキテクチャといえば日立のSHや松下のUniPhierなど日本企業も得意としていた分野だった。IoTは反転攻勢に打って出るチャンスとなるだろうか?たぶん厳しいだろう。
内製の独自コアはニッチな要求に応える武器だとあきらめるべき。プロセッサのメインストリームはARMやRISC-Vのように共通プラットフォームを展開するビジネスモデルが有利。ルネサスとてSHコアにこだわるつもりは毛頭なさそう。
低電力IoTマイコン、ルネサスがテストマーケティング中 - 日経テクノロジーオンライン
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