【考察】ルネサスがMaxim Integrated買収の噂。そこに愛はあるのかい?
最近は中華ガジェットで遊んでばかりのあるばかです。
久しぶりにハイテク銘柄のネタを紹介します。
ルネサスがマキシムを買収するという噂の考察です。
目次
ニュース概要
米国時間1月29日16時頃、CNBCはルネサス・エレクトロニクス(Renesas、6723)がMaxim Integrated(マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ、MXIM)と買収交渉に入ったと報じた。
Maximの時価総額160億ドルに対し、買収額は約200億ドル(約2.2兆円)近くになる見通し。
これはルネサスの時価総額(日本時間29日終値で2.1兆円)を上回る金額だ。
Maximの株価は一時25%高騰、前日比でも12%の値上がりとなった。
ルネサスは否定する声明を発表した。
参考:
Renesas Electronics could acquire Maxim Integrated in $20B chip deal
ルネサスがMaximと買収交渉との報道、ルネサスは否定 - EE Times Japan
ルネサスの適時開示「そのような事実もありません」
特ダネに「決定した事実ない」はご法度―東証、情報開示を強化 - Bloomberg
Maximとは?
車載と産業分野に強い米国のアナログ半導体メーカー。
電源ICと高速インタフェースICが主力製品。
事業ポートフォリオの選択と集中がお手本通りに実践されている筋肉質な優良企業だ。
Maximは以前から身売りの話があった。
2015年10月、Analog Devices(ADI)とTexas Instruments(TI)の2社がMaximの買収検討していると報道されたが、金額面で折り合わず買収は見送られた。
Maximはゴールドマン・サックスと提携し、今後も買収や合併を検討しているとコメントした。
参考:
金額面で折り合いつかず?:ADIとTI、Maxim買収は“見送り” - EE Times Japan
余談:
間違っても職場のPCで「Maxim」を画像検索しないでください。
ルネサスとMaximのシナジーはある?
シナジーは薄いでしょう。
マイコン屋のルネサスが電源屋のMaximを買収してもビジネスチャンスは増えません。
ルネサス傘下になると他のマイコンメーカーからMaximが敬遠されて売上が落ちる懸念すらあります。
ルネサスにとっても、マイコンと電源のセット提案が目的なら協業すれば事足りるのです。
ルネサスがMaximを買いたい本当の理由
ルネサスの本音はこのあたりだと予想します。
競合マイコンメーカーへの牽制
競合を利するくらいなら、買収して自分専用にしてしまう作戦です。
Appleが指紋認証技術のAuthenTecを買収したのが似たケースです。
iPhoneのTouch IDとして採用された一方、モトローラのNexus6は指紋認証機能が無くなりました。
リニアテクノロジー(LTC)をアナログ・デバイセズ(ADI)が買収するなど技術力が高い電源ICメーカーの寡占化が進んでおり、独立系で車載に強いMaximの重要性が高まっています。
nvidia、intel、サムスンのような車載マイコン市場の新規参入組にとって、Maximは貴重なパートナーです。
ルネサスもMaximと協業したソリューションを持っています。
参考:
MaximとNVIDIA、車載インフォテイメントおよび自動運転ソリューション向けのDRIVE CXおよびPXプラットフォームでコラボレーション - マキシム
Maxim、ルネサスの「R-Car コンソーシアム」に参加 - マキシム
Higher Integration Drives the Newest Generations of Smartphones - Tutorial - Maxim
アホな経営者のマネーゲーム
ゴールドマン・サックスの口車に乗せられたかもしれません。
派手なM&Aでキャリアに箔をつけたかったのかもしれません。
参考:
ルネサス、M&Aの帰結点。株主で顧客のトヨタは外資入りに否定的?
【経済インサイド】買収王・永守重信氏にルネサスは渡さない! 産業革新機構がCEOに選んだのは永守氏と敵対するある人物だった(1/5ページ) - 産経ニュース
会見詳報:千載一遇のチャンスだったルネサスのIntersil買収 (1/2) - EE Times Japan
MaximとIntersilのシナジー
Maxim買収により旧Intersil事業の競争力強化が見込めます。
Intersilは2017年にルネサスが買収した電源ICメーカーです。
当時、MaximもIntersil買収に名乗りをあげていたと言われています。
マイコン屋のルネサスがいまさらアナログICを強化することに疑問が残りますが、
もしアナログICが不要になったとしても、Maxim+Intersilなら市場価値は高いでしょう。
いざとなったら、電源部門を切り出して売却しちゃえばいいのです。
参考:
米報道:ルネサスにMaximが対抗? インターシル買収で - EE Times Japan
インターシル 日本法人 社長 大久保喜司氏:高効率/高集積そして高信頼性の電源を中心に、ビジネスのカバレッジを広げる - EE Times Japan