Galaxy note7だけリコールになった理由
Galaxy note7がバッテリー不具合でリコール。なぜs7は大丈夫なのか。
目次
追記
ATL製バッテリーでも爆発が置き、note7はついに販売停止に。
発火事故の原因は電池パックの角のカーブの設計だという韓国の報道があった。
note7は圧力を受けやすい構造になっていて、
しかもサムスンSDIのバッテリーはショートしやすい構造になっていたとか。
正式発表ではないけれど、合点がいく説明ではある。
サムスンの電池内蔵タイプはすべて爆発ポテンシャルが残るけど、note7はたまたま、特に出来が悪かっただけ
・・・だとするとs7はセーフなのかな。
リコールの概要
8月に発売された直後、バッテリーが爆発するなどの事故が35件発生。
サムスンは中国系サプライヤーから調達したバッテリーに不具合があることを認め、グローバルで交換修理に応じる大規模リコールを発表した。
Galaxy note7は複数のサプライヤーからバッテリーを調達している。
某中国系サプライヤー以外の電池では問題ないとし、問題があった電池を採用していない香港・中国モデルでは予定通り9月から販売を開始・継続している。
Galaxy s7は本当に大丈夫か?
サムスン発表によると、バッテリー不具合が起きたのはnote7のみ。
note7は初回ロットの品質が特に悪く、使って間もなく高頻度で爆発という隠し切れないクレームだったから、リコールに追い込まれただけ。
note7とs7(s7 edge)は基本的に同じなので、バッテリー調達先を変えたとは考えづらいし、
もともとサムスンは軽度のバッテリー不具合(1年でへたる、膨らむ)は放置する企業体質なので、note7と同じ不具合ポテンシャルがs7にもあるはずだと思う。
s7 edgeは国内キャリア(docomo, au)で発売済み、しかもnote7も日本発売される可能性が濃厚なので、いまごろドコモやKDDIが鬼の勢いでサムスンに問い合わせていると想像。日本の通信キャリアがつめよったところで、サムスンは歯牙にもかけないでしょーが。ドコモもauもGalaxyを取り扱わないと、アップルに足元をみられてiPhoneをあくどい条件で買い取る羽目になるから。しかもSIMフリー端末やMVNOの普及で日本市場を3社で寡占していたかつての神通力は衰えている昨今。
TVCMの「これはやばい!」というキャッチコピーがとっても皮肉。
不具合原因を深読み
保護回路があっても問答無用で爆発する現象から考えると、セル自体に傷や異物混入していたのではないか。
Galaxyシリーズのリチウムイオン電池のサプライヤーとして知られているのはサムスンSDI(内製)とATL(アンプレックステクノロジー。TDKが買収した中華系企業)。とすると犯人候補は以下3つ。
- 本当はサムスンSDIが犯人だが、部材調達している中国の素材メーカーに責任転嫁
- ずばりATL
- note7から第3のバッテリーサプライヤーが追加された
香港・中国モデルがリコール対象でない理由
サムスン香港はFacebookページで香港・中国モデルはリコール対象となったバッテリーを使っていないので影響がないと正式にコメントした。
さらにフォーブスの記事によれば、Galaxyのグローバルモデルはベトナム工場と韓国工場、香港モデルは中国工場で生産しているので、バッテリー供給元が異なるという公式説明と辻褄があうと解説している。
中国工場で生産する場合、中国製の部材使用率が問われるため、当然、電池は中国製のはず。
最新世代の高性能電池を作れるメーカーは限られているし、サムスンSDIの莫大な生産キャパを考えると
- ベトナム工場と韓国工場はサムスンSDIが供給
- 香港モデルはATLが供給
- 不具合を起こしたのはサムスンSDI
- サムスンSDIのイメージダウンを避けるために真因を隠蔽
という構造になっている可能性が高そうだ。
今後
自動車のリコールだと徹底的に情報開示が求められるが、しょせんはスマホ。
このままうやむやにして隠し通すこともたやすい。
しかしサムスンのブランドイメージを重視するなら徹底的に情報開示するべきだろう。
短期的な利益を優先して火消しに走るするよりも、消費者の信頼獲得こそがアップルに勝つ道だと思う。パナソニックの石油ファンヒーターのリコールから学ぶべき点は多い。
参考記事
サムスンが発表した事故原因
2017年1月23日にサムスンはGalaxy note7発火事故の調査結果を発表した。
サムスンSDI製バッテリーの発火原因
サムスンによると1回目のリコール、つまりサムスンSDI製のバッテリーが発火した原因は寸法設計のミス。
Galaxy note7のサムスンSDI製バッテリーは角のカーブに無理があり、ショートしやすい構造になっていたことを認めた。
事前に韓国メディアが関係者情報としてリークされていたメカニズムがこちらに該当すると思われる。
サムスンはバッテリーの薄型化と大容量化を押し付ける一方で、安全性はバッテリーメーカー任せになっていたという指摘だ。
安全設計の知見が少ないサムスンSDIが「やっちまった」というワケだ。
ATL製バッテリーの発火原因
Galaxy note7は1回目のリコール後も発火事故が収まらなかった。
サムスンSDI製バッテリーより発生率は低いものの、ATL製バッテリーも発火事故のポテンシャルがあった。
ATL製バッテリーはセパレータの破損が原因だという。セパレータが破損したら爆発するのは至極当然。
なぜセパレータが破損するか?当初、サムスンは、外部から圧力が加わったため、つまりユーザの使い方の問題だという姿勢だったと思うが、説明資料によると「バッテリーの溶接バリ」もしくは「絶縁テープの貼り忘れ」という驚愕の不具合メカニズムを発表した。
サムスンは原因をATLになすりつけて、発火事故をさっさと幕引きしたいという狙いだと邪推している。
AppleのiPhoneにもバッテリーを供給するTDK傘下のATL社に品質問題があるとは信じがたい。おそらくはATLとサムスンで水面下の取引があったのだろう。
サムスンは爆発事故に関して、ATLおよびサムスンADIに一切の法的責任を求めないことを発表している。ATLが泥をかぶることとのバーターか。
結局“外部”に押しつけたギャラクシーノート7燃焼原因 : 経済 : ハンギョレ
韓国系メディアは日系メディアより、この問題を踏み込んで解説している。
結局、Galaxy s6 edgeは大丈夫なのか?
Galaxy s6 edgeのバッテリーが爆発する心配は「理論上はありえる」しかし「起きていないから、たぶん大丈夫」ということになる。
サムスンのGalaxyシリーズは薄型化と大容量化を最優先して開発されてきた。バッテリーの安全性は検証が不足しており、潜在的に事故を起こしやすいポテンシャルがあった。
これまではバッテリー問題が起きてもユーザー責任で逃げてきたが、Ganaxy note7は販売直後から頻発してしまい、リコールに追い込まれたというわけだ。
次期Galaxy S8のバッテリーはサムスンSDIと村田製作所(旧:ソニー)の噂
Galaxy note7の次に発売予定のGalaxy S8のバッテリーはサムスンSDIと村田製作所という噂がある。
note7爆発事故のイメージを払拭するため、香港系のATL社から日本製のイメージが強い村田製作所にしたという説もあるが、私の見立ては違う。
まずバッテリーサプライヤーはおおやけに宣伝する要素ではない。しかも子会社のサムスンSDIを使う手前、「サプライヤーを変えたので安心です」という理屈も使えない。テスラが事故をきっかけに自動運転ソフトをモービルアイからエヌビディアに変えたのとは事情が異なるのだ。
村田製作所のバッテリーを採用する理由
村田製作所が事業買収したソニーは薄型リチウムイオンポリマー電池の雄。ダントツの品質や性能だが、ソニー時代は安売りしないプライシング(価格戦略)だった。
村田製作所はソニーと違い、スマホ向けの様々な電子部品事業を展開しているため、サムスンのような大口顧客には、極論、バッテリーを原価すれすれで販売しても、他の電子部品のクロスセルで商売ができる。いわば「損して得を取る」かたちだ。
早く受注実績を獲得したい村田製作所と信頼回復を目指すサムスンの思惑が一致した結果だと読んでいる。
ATLはなぜ切られたのか?
サムスンが次期Galaxy S8でATL社から村田製作所に全数を切り替えたとすれば、ATL社には「恩を仇で返す」仕打ちだといえる。
ATLはGalaxy note7の1回目のリコールで出荷停止になったサムスンSDI分の大増産を準備したにも関わらず、間もなく2回めのリコールで全数キャンセルをくらった。さらに爆発原因の記者会見では原因の一端を押し付けられている。
結論、サムスンとの取引に義理人情は一切通用しないので気をつけましょう、ということ。