アイフライテックのAI同時通訳のカラクリが告発された件
こんにちは。ハイテク銘柄大好きブロガーのあるばかです。
今日はひさしぶりのハイテク銘柄ネタです。
中国の音声認識技術大手のアイフライテック(科大訊飛, iFLYTEK)が提供しているAI同時通訳について、
裏で人間の同時通訳を使っていたという告発記事が中国国内で話題になっています。
事件のあらまし
告発内容
中国の同時通訳者Bell Wang氏がZhihuという中国版の知恵袋サイトに告発文書を投稿したことがきっかけです。
問題となった国際会議は2018 International Forum on Innovation and Emerging Industries Development。
その国際会議では、アイフライテックがAI技術で同時通訳を提供しているとうたいながら、じつはBell氏が同時通訳した内容を転記していたという告発です。
具体的には次のようなカラクリです。
会場では登壇者のスピーチがリアルタイムに翻訳され、テキストと音声が配信されていました。
この同時通訳システムはアイフライテックの提供ロゴが入っていましたが、
じつはBell氏が同時通訳した内容を音声認識でテキスト化してスクリーンに表示していただけでした。
また、音声認識したテキストを読み上げさせることで、あたかもAIが同時通訳しているように見せかけていたのです。
アイフライテックの弁解
今回の告発事件について、アイフライテックはWeibo(中国版Twitter)で弁解文書を発表しました。
弁解内容を一言でまとめると
「AI技術だけで同時通訳しているとは言っていない。当社の技術が詐称したというのはBell氏の誤解だ」
ということです。
ソース
知恵袋サイトに投稿された告発
科大讯飞,你的AI同传操(qi)作(zha)能更风骚一点吗
この事件の関連ニュースまとめ(中国語)
科大讯飞回应同传造假_微博
英語版の記事
AI Company Accused of Using Humans to Fake Its AI
あるばかの感想
せめて人間が翻訳した音声をそのまま配信すればよかったのに、
わざわざテキストを自動発話で読み上げさせていたとなると、
確信犯っぽい感じがぷんぷんします。
そもそも、AI翻訳なんて詐称しなければ、こんなに叩かれることはなかったはずです。
同時通訳したスピーチをリアルタイムで音声認識してテキスト化するだけでも十分、実用的だと思います。
こういうスキャンダルが起きると、アイフライテックの技術はすべて胡散臭いイメージがついてしまいます。
あるいは音声認識だけだと競合他社に追いつかれてしまうという危機感が強いのでしょうか。
音声認識関連の投資ガイド
音声認識分野はiOSのSiriに技術提供しているNuance (NASDAQ: NUAN,ニュアンス) や、Google(NASDAQ:GOOG, Alphabet Inc)など、米国企業の独擅場です。
しかし、こと中国語に関してはアイフライテックの存在感が絶大です。
AIで音声認識率を向上させるためには大量の音声データが欠かせません。
中国政府は国内のスマホ利用者から収集した情報の資産価値に気づいていて、戦略的に運用しています。
「国策に売りなし」といいますから、アイフライテックの将来性は長期的にも硬いと思います。
しかし短期的には軟調かもしれません。
アイフライテックといえば中国語の音声認識技術が有名ですが、
最近はAIによる同時通訳システムをアピールしていました。
今回のスキャンダルでイメージダウンが心配されます。
逆に社会全般の注目度が上がることで、イナゴが集まる可能性もあります。
AI技術がいち早く実用化されるテーマとして、
自動運転の次に注目されるのが音声認識分野です。
いまは株価軟調なNuanceも要注目です。