TSMCとサムスン、勝ち組はどちら?
企業戦略として垂直統合と水平分業のどちらが勝ち組か?という話題。
ノリとしてはAKB48の推しメンと同じで正解はないわけだが、
とりあえず「前田敦子!」とかいってお茶を濁すのと同じノリで、
垂直統合型を押すのが正解っぽい雰囲気があると思う。
とくにエレクトロニクス業界にかぎっていえば、
シャープやパナソニック、日立、ソニーなどの例があるので
垂直統合型を推そうものなら時代錯誤の大ブーイングをくらうこと間違いなし。
垂直統合型の事業構成に固執したことが日本の電機メーカーが凋落した要因だとしても、
ビジネスモデルとして垂直統合と水平分業の優劣を決める論拠としては不十分だろう。
目次
スマホ用プロセッサの勝者はサムスン
結論からさきにいえば、スマホ用プロセッサの勝者はサムスンだ。
TSMCやインテル、クアルコム、ハイシリコンなど、世界中の半導体メーカーがしのぎを削る一番競争が激しいメジャー市場で勝ち抜けた理由はサムスンが垂直統合型のビジネスモデルを展開していることに関係していると思う。
TSMCとサムスンの競争
スマホSoCのデファクトスタンダードはQualcommのSnapdragonシリーズ。
Snapdragon 810はTSMCが受注したが発熱問題でしくじってしまい、
Snapdragon 820、Snapdragon 830はサムスンが独占受注した。
TSMCも指をくわえていたわけではなく、iPhone7のA10を独占受注している。
A9はTSMCとサムスンの2社供給だったのでアップルビジネスではTSMCがサムスンを出し抜いた形になる。
Qualcomm下請けは一粒で3度美味しい
iPhoneにしか使えないApple向けSoCの製造受託はサムスンにとって旨味が少ないビジネス。
一方、Qualcomm向けSoCの製造受託はサムスンにとって一粒で3度美味しいビジネス。
1.GalaxyのBuying powerを底上げする
Qualcommの製造受託は、Galaxyの部品調達面でシナジーが期待できる。
サムスンはSnapdragonの製造原価をほぼ握れるわけで、
おそらく世界で一番安く買うことができるはずだ。
これがGalaxyの価格競争力に貢献することはいうまでもない。
2.Exynosの設備投資が不要になる
莫大な投資が必要な最先端の半導体製造装置をSnapdragonの製造受託でスピーディに投資回収できるので、自社開発のExynosも相乗りできる。他人のふんどりで相撲を取れるわけだ。それも横綱級のふんどし。
3.安定的で莫大な出荷台数
iPhoneにしか使われないAppleのSoCチップより、有象無象のスマホメーカーが採用するQualcommチップは需要の波が安定しているはず。
垂直統合が成功する条件
日本の電機メーカーが失敗した垂直統合型ビジネスモデルがサムスンやLGのような韓国企業で成功した理由は何か?
スケールメリット(規模の経済)がキーファクターだと思う。
韓国は自動車は現代、電機はサムスン、LGと財閥企業にリソースが集中している。
それに対して日本は同じ業種、業態の大手企業がまだまだ多い。
日本企業の生存戦略
日本企業もかつてのように巨大財閥に集約して垂直統合型ビジネスモデルを展開する、というシナリオがひとつ。たとえばトヨタがダイハツ、スズキ、マツダ、スバルなど日系自動車メーカーを束ねていくパターン。しかしこの戦略を展開できる企業は非常に限られている。
各々の企業が得意とする事業領域・セグメントに特化する水平分業志向にならざるを得ないケースが大半。そうすると研究リソースの分散が課題となる。
次回、水平分業時代のR&D戦略についてIBMの例を調べてみよう。