ポストムーア時代を牽引する技術はプロセス微細化からパッケージにシフト
iPhone7のCPU「A10 Fusion」で採用されたInFO技術が発熱問題に極めて重要な貢献をしているように、半導体のキーテクノロジーはプロセスからパッケージにシフトしていくのかもしれない。プロセス微細化によるムーアの法則はいよいよ終焉を迎えつつある。
ムーアの法則とは
半導体は製造プロセス微細化によって性能・価格が指数関数的に改善されるという法則。
たとえばトランジスタの集積度が2倍になれば、同じ面積なら性能が2倍になり、同じ性能なら価格は半分ですむ。配線間隔が半分になれば縦横で4倍の回路を書き込める。
ムーアの法則の典型はインテルのCPUやメモリで「1.5年で性能2倍」という驚異的な進歩を継続してきた。
ポストムーア時代
2005年あたりからムーアの法則に限界が来たと言われている。
プロセス微細化の効果が薄くなり、スケーリング則が成立しなくなってきたからだ。
莫大な費用をかけてプロセス微細化を進めても、ムーアの法則が成立していたころのような大幅な性能向上が得られなくなった。
2007年にITRSは今後の技術トレンドを「more moore」と「more than moore」という2つのアプローチで整理した。石油埋蔵量とおなじく予想外の技術進歩でムーアの法則の限界は毎年毎年後ろ伸ばしになっているが、性能進化を支えるキーテクノロジーはこれまでとは異なるトレンドに変化している。
More Moore
2次元的なプロセス微細化に対してFinFET 3Dトランジスタのような3次元で性能向上させるアプローチをMore Mooreと呼んでいる。3Dトランジスタ以外にぱっとした技術がないせいか、more mooreという言葉は最近はあまり目にしない。
More than Moore
スケーリング則以外のアプローチ全般をMore than Mooreと呼んでいる。プロセス微細化は「いくところまでいった」観もあり、それ以外の改善が相対的に重要になってきた、という点に尽きると思う。
more mooreの代表選手が3Dトランジスタなら、
More than Mooreの代表選手はFOWLP(Fan-Out Wafer Level Packaging)。
FOWLP市場の勝者
ポストムーア時代にMore than Mooreなアプローチ、例えばFOWLP技術がキーテクノロジーになる。
FOWLP市場の真の勝者は誰なのか?
量産実績でリードしているTSMCか?元Infineon社の有力特許を握るIntelか?
わたしは半導体装置メーカーだと思う。
ゴールドラッシュで儲けたのは鉄道とジーパンだったのと同じ。