おばかさんよね。

なぜハーレー・ダビッドソンがE-BIKEに参入するのか?

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ハーレー・ダビッドソンがE-BIKEを発売するそうです。
ワイルドなエンジン音で知られるハーレーが、無機質な電動モーターで駆動するバイクを創るなんて信じられますか?

なぜ今、あのハーレーがE-BIKEに参入するのか?
ハーレーの狙い、ブランド戦略を考察します。

ニュース概略

ハーレー・ダビッドソン(Harley Davidson, NYSE:HOG)は
「18ヶ月以内にE-BIKE(電動バイク)の市販を目指す」
と、1月31日の決算説明会で発表した。

ハーレー・ダビッドソンは2014年に「LiveWire(ライブワイヤー)」と呼ぶプロジェクトでE-BIKEのプロトタイプを発表していた。

livewire

市販するE-BIKEの価格や商品名など詳細は明かされていない。

参考:
Harley-Davidson Is Making an Electric Motorcycle, After LiveWire - Bloomberg

ハーレーがE-BIKE市場に殴り込み!?

ハーレー・ダビットソンはラーメンで例えるなら「次郎」と同じです。
ジロリアンが「次郎はラーメンではなく、次郎という食べ物」と言うのと同じく、
ハーレー好きも「ハーレーはバイクではなく、ハーレーという乗り物」が口癖です。

ハーレーといえば爆音、ワイルド、アメリカン、アウトロー・・・
強烈なブランドイメージを誇ります。
それだけにエコフレンドリーで静音なE-BIKEとは最も縁遠いと思われていました。

E-BIKEはGogoroなど中国、台湾メーカーがガジェット感覚でワイワイやってる市場です。
そこに原理主義的エンジン教のハーレーが殴り込んでくるというから驚きです。

もうやめて!とっくにハーレーのライフはゼロよ

ハーレーがE-BIKE市場に早期参入するウラには苦しい懐事情があると言われています。

ひとつはブランドイメージの低下です。
その証拠がアクセサリー分野(アパレルやジュエリー)の売上減少です。
アクセサリー分野の売上はブランドの求心力と強い相関があります。

もうひとつが米国のバイク人口の減少です。
コアなハーレー・ファンが多いベビーブーム世代(日本で言う団塊の世代)は大型バイクを引退し、老人ホームに入る年齢になりつつあります。

そのかわりに台頭してくるデジタルネイティブ世代はハーレーを「USBもないし、iPadもつながらない古臭い」ブランドだと思っています。
ミレニアル世代、特に若い女性が弱いセグメントです。

この現象は米国に限らず、日本でも同じだと思われます。
若者のバイク離れによるブランドイメージの低下というハーレーにとって致命的な問題がグローバルに進んでいます。

ハーレーの新戦略

ハーレーはミレニアル世代の開拓を狙い、従来よりも乗りやすく、小さいバイクのラインナップを増やしています。

「street 500」は排気量500cc未満

新発売するE-BIKEもこの方針を踏襲すると予想します。

ハーレーらしいE-BIKEとは?

エコフレンドリーなEVやE-BIKEは、ハーレーのブランドイメージと相性が悪いと思いませんか?
しかし味付け次第でハーレーらしいE-BIKEを作り出せる可能性もあります。
電動モーターが得意とする「力強いゼロ加速」、「静かに空を飛ぶような疾走感やスリル」なら、ハーレーのブランドイメージとも共存できます。

いまのところ、E-BIKEは原付っぽい電動スクーターが主流です。
ホンダもPCXやスーパーカブのようなローエンドから電動化を計画しています。

EVカブは2018年発売予定

バッテリーの航続距離など技術的な理由はあるものの、
ハイエンドのE-BIKE市場は未開拓のブルーオーシャンです。
どんな風にハーレーらしさをE-BIKEで表現してくるのか、楽しみです。

おまけ:BMW「C evolution」のこれじゃない感。

BMW「C evolution」

参考

ハーレーダビッドソンに黄信号、ブランド力低下やバイク人口減少響く - Bloomberg
バイク業界に押し寄せる高齢化の波-ミレニアル世代が救世主となるか - Bloomberg

ホンダのEV戦略に秘められたポテンシャル - おばかさんよね。