おばかさんよね。

SonosとAmazon Echoの連携はプラットフォーム戦略の妙手

公開日:  更新日: 2018/02/10

今年8月、米国ベンチャーが開発したスタイリッシュなコネクテッドスピーカー「Sonos」がAmazon Echoと連携する新機能を発表した。スピーカーでスピーカーを操作する意味あるの?とも思える奇妙な連携だが、よく考えてみると、Sonosの音質とデザインという強みを活かしつつ、ソフト的機能はAmazonに頼ることで、Boseやソニーなど大手競合に対向するというプラットフォーム戦略の妙手といえる。
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Sonosの苦境

Sonosは今年3月に従業員のリストラと事業再構築をブログで発表していた。背景にはワイヤレススピーカー市場の変化がある。Sonosよりずっと安価なBluetoothスピーカーの音質・デザインが飛躍的に向上したことが大きい。「音楽をどの部屋でも聞ける」というSonosの製品コンセプトは素晴らしかったが、たいていの人にとってはスマホとBluetoothスピーカーで十分となってしまった。

ワイヤレススピーカーの市場トレンド

ワイヤレススピーカー市場は「価格勝負のローエンド」と「高機能なハイエンド」という2つのセグメントに分かれつつある。
ローエンド=Bluetooth接続型の再生専用機。実際、愛用してるが、3000円程度の小口径スピーカーでも十分な音質。ひと昔前のCDラジカセをイメージしてたので、クリアで低音・高音ともにフラットなのでびっくり。

一方、1万円以上する価格レンジになると新機能がアピールポイントになってくる。とくに注目はクラウド連携の音声認識機能。Amazon Echoがそのさきがけ。逆にSonosのようにスタンドアロンでストリーミングサービスに対応しただけでは機能的に見劣りしてしまう。また音質面でも普通のHiFiオーディオとBluetoothスピーカーに挟まれて苦しい立ち位置となる。

Amazon Echoの弱点

Amazon Echoの弱点は音質。音楽再生専用端末に比べて音質対価格のコスパが悪いし、音楽再生中に話しかけても精度の高い音声認識を実現するため、搭載できるスピーカーの性能には限界がある。
そこでAmazonがリリースしたのがスピーカー機能をがっつり削ぎ落とした「Amazon Echo Dot」。
AI搭載ワイヤレススピーカーという存在を開拓したうえで、本質的なコア機能に特化して価格を下げてプラットフォームの普及を狙った戦略商品は「Amazon Echo Dot」というわけだ。

AmazonのプラットフォームとSonosの共存共栄

AmazonはEcho dotという音声認識用マイクデバイス(もはやスピーカーはおまけ)とAlexaというクラウド型人工知能のプラットフォームを提供し、SonosのようなサードパーティのIoT機器を取り込むことができる。
消費者はコスパ重視ならAmazon Echo、もっと音楽にこだわりたいならEcho dotとSonos、といったようにハイエンドからローエンドまで多様なニーズをカバーできる最強の家電プラットフォームになるのだ!

ハイエンド・ワイヤレススピーカーの各社比較

ソニー「LSPX-S1」

ソニーらしく憎たらしいほどオシャレなデザイン。バカ高いし、音質や機能も見劣りするが、そもそもスピーカーではなく照明器具・インテリアという製品ジャンルなので、欲しい人にとっては唯一無二の製品。

BOSE「SoundTouch 10」

ワンタッチでSpotify再生に対応した。ワイヤレススピーカーのくくりのなかで製品カテゴリはSonosと同じ。電源入れたらワンタッチでストリーミングできる高音質・スタンドアローン型コネクテッドスピーカー。

ワイヤレススピーカーの未来

スピーカーはデザインや音質などこだわりポイントが多い嗜好製品。一度気に入ったモノを手にしたら長く使いたいもの。一方、プレイヤー部分の製品サイクルは短い。バッテリーの寿命も気になる。
ゆえにネットワークプレイヤー・スピーカーの一体形はローエンド、ハイエンドはスピーカーとプレイヤー、音声認識(リモコン)とコンポーネント型に進化しそう。
そしてミドルクラスはSonosやソニーのようにニッチなゾーンを狙った変わり種が百花繚乱となりそう。

参考

Amazon Echo Now Lets You Control Your Sonos Speakers