おばかさんよね。

Amazon売れ筋1位のドローンを分解してみたらすごかった 。(UDIRC U31W NAVIGATOR)

公開日:  更新日: 2018/02/10

こんにちは。ガジェットブロガーのあるばかです。

UDIRCの小型ドローン「U31W NAVIGATOR」を入手しました。

Amazonの売れ筋ランキングで1位(18年1月時点)

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実際に遊んでみた感想、分解レポートをご紹介します。

この記事は長いです。大上段に構えたコラムもついています。
だから結論を先にいうと、この記事に興味を持った時点で迷わずU31Wを買うべきです。
Amazonプライム発送なので、この記事を読み終わったころには手元に届いているかもしれません。

クーポンコード「MX3X5KMM」で、なんと20%引になります。
ブログ経由限定、2018年4月30日までの期限付きキャンペーンです。

UDI R/C U31W
実売9000円程度

U31W NAVIGATORとは?

入門用トイドローンとして最強の1台です。
1万円以下のお手頃価格、子供でも簡単に飛ばせる飛行安定性、上級者も楽しめるライブビューや高速モードが特徴です。

U31Wはこんな人にぴったりの1台です。
・入門用のドローンを探している
・室内でも屋内でも気楽に飛ばせるドローンが欲しい
・自立飛行しないしょぼいドローンを買ってしまい、失敗した
・エレクトロニクス業界に興味がある(後述)

メーカー商品ページ:
Navigator / U31W – UDI RC Drone

あるばかの感想

ここが良い(・∀・)イイ!!

  • 6軸+気圧センサでホバリングが安定。室内でも初心者でも楽しめる。
  • ワンキー離陸・着陸が便利。操作ミスによる破損を防げる。
  • 専用コネクタ式で着脱しやすいバッテリー
  • 臨場感あるライブビューやアクロバティックな制御ができる高速モードあり。

ここがイマイチ(´・ω・`)

  • バッテリーがすぐ切れる。(予備バッテリーは必須。でも安いからOK)
  • カメラはオマケ程度。画質は5000円台のアクションカメラ以下。
  • カスタムフライトモードは使い物にならない。

基本スペック

UDIRC U31W NAVIGATOR 基本スペック
飛行性能
重さ 85g
最長飛行時間 7分
WiFI通信距離 30m
リモコン帯域 2.4GHz
通信距離 40m
リモコン電源 単三電池 x4本
モーターサイズ 8520
本体サイズ 183 x 198 x 43 mm
センサー 6軸(ジャイロ、加速度)、高度(気圧)
カメラ性能
対角画角(FOV) 120°
絞り値 F2.0
ビデオ解像度 720p @30fps
ビットレート 30Mbps
ファイルシステム FAT32
ライブビュー画質 720p @20fps
バッテリー性能
容量 350mAh
出力電圧 7.4V
重さ 29g
充電時間 75分
充電電圧 5V
充電電流 約400mA

外観

中華ガジェットですが、梱包も日本語説明書もしっかりしています。

梱包も説明書も問題なし。

梱包

付属品も充実しています。
ドローン本体、リモコン、バッテリー受電機(USB式)、バッテリー、4GBのmicroSDカード、microSDカードリーダー(USB)、予備パーツ(プロペラ4枚と工具)、日本語説明書、保証書が付属します。

あとはリモコン用に単三電池4本あれば、すぐに遊べます。

録画用のmicroSDカードとカードリーダーまで付属しているのは驚きでした。

スマホ連携

「Flyingsee」アプリをインストールし、ドローンとWiFi接続すると、ライブビュー機能と本体操作が可能です。

ドローンを飛ばしながら撮影している映像をリアルタイムで確認できるライブビューはドローンの醍醐味のひとつです。
これがないとドローンを飛ばす面白さが半減します。

ライブビューはFPV視点にも切り替えできますが、映像の遅延があるので実用的ではありません。
同じくアプリ経由の本体操作も難易度が高いです。付属の無線式リモコンが必須です。

バッテリー

安い小型ドローンのバッテリーは小さい汎用コネクタが多く、抜き差しの度にストレスがたまりますが、U31Wのバッテリーは専用コネクタで使いやすいです。

バッテリーと充電ケーブル

バッテリーと充電ケーブル

残念ながらバッテリー1本で7分くらいしか飛びません。
予備バッテリーは絶対買っておいたほうがいいです。
いまなら2本セットで3500円です。

飛行性能

ドローン初心者でも簡単に飛ばせるよう工夫されています。

ワンキー離陸・着陸

ボタン一つで離陸して一定高度を保ったまま静止できます。
飛行中にもう一度押すと、自動的に着陸します。
高度センサ(気圧センサ)、6軸センサを搭載しており、簡単にホバリング制御できます。

ヘッドレスモード

ドローン本体の向きにかかわらず、操縦者から見た方向のまま操作できるモードです。
ドローンの前後左右が分からなくなった場合に便利なお助け機能です。

緊急停止機能

バッテリー残量が少なくなったり、リモコンの電波が届かなくなったら自動的に着陸します。

分解してみた

工具さえあればU31Wの分解・組み立ては簡単です。
ネジ留めとスナップフィットだけのシンプルな構造です。

工具

必要な工具はこの3つです。
1.軸が細くて長い精密プラスドライバー。先端が磁化されているほうが便利。
2.ピンセット。組立するときに必要です。
3.柄が細いヘラ。羽の下の爪の食い込みが硬いです。
スマホ修理用のこういうセットで全部そろいます。

分解手順

まず足の下を外します

まず足の下を外します

上側にメインボード

上側にメインボード

下側にカメラボード

下側にカメラボード

メインボードの主要部品

  • マイコン:STマイクロ STM32F031K6(ARM Cortex-M0コア 48MHz)
  • リモコン用トランシーバー:中国 Beken BK2425
  • 6軸(ジャイロ+加速度)センサ:米国 Invensense(現・TDK子会社) MPU-6050A
  • 気圧センサ:メーカー不詳。捺印は「A7E02 069」。

6軸(ジャイロ+加速度)センサ:米国 Invensense(現・TDK子会社) 

6軸(ジャイロ+加速度)センサ:米国 Invensense(現・TDK子会社) 


 気圧センサ:メーカー不詳

気圧センサ:メーカー不詳


基板裏側にマイコンとトランシーバー

基板裏側にマイコンとトランシーバー

カメラボードの主要部品

  • SoC:中国 ANYKA AK3918
  • WiFi SoC:中国 ESPRESSIF ESP8089
  • 32Mbitフラッシュメモリ:中国 GigaDevice GD25Q32C

SoCとWiFiチップ

SoCとWiFiチップ


フラッシュメモリ

フラッシュメモリ

考察

さくっと分解して、写真を取って、また元通りに組み立てることができます。
それだけシンプルかつ合理的な機構です。
それと中華チップを積極的に採用し、高性能かつ低価格を実現しています。

基板は空スペースが多いし、チップの機能集積度も低いです。
作り込んで軽量化を追求より、開発スピードとコストを優先したと思われます。
実際、この選択は正解でしょう。
飛行性能は十分ですし、飛行時間が短い点は予備バッテリーでカバーできるからです。

コラム:中国企業のOEM脱却を加速させる2つの変化

これまでの常識

中国のエレクトロニクス産業はOEMやEMSのような付加価値が低いビジネスが中心だと思われています。
その代表例がiPhoneを受託製造する鴻海(Foxconn)です。
鴻海は札束を積み上げるパワープレイで「シャープ」という看板(ブランド)を手にしました。

新しい成長戦略

ブランドを育てるのは時間がかかるため、M&Aで「時間を金で買う」のが定石だと言われています。
しかし今、これまでとは明らかに異なる成長パターンが登場しています。
これまでOEMに甘んじていた中国企業がいきなり独自ブランドを展開し、その独自ブランドがこれまでにないスピードで市場シェアを獲得するという成長パターンです。

秘密その1:Amazonマーケットプレイス

UDIRBのU31Wはこの新しい成長パターンの典型例です。
UDIRCという会社は2010年されたラジコン玩具メーカーです。
OEMやODMサービスを展開する一方で、自社ブランドの製品をAmazon中心に販売しています。

そう、Amazonこそが「いきなり自社ブランド」という戦略を可能にしたキーファクターのひとつです。
「Amazon マーケットプレイス」のおかげで、在中の小売業者から世界各国の消費者に直接販売が可能になりました。
既得権益やリベートにまみれた古い体質の卸売業者を通さない商流が拓けたのです。

秘密その2:中国の半導体産業

しかしAmazonだけでは「いきなり自社ブランド」戦略は成功しません。
最も重要な理由は中国の半導体産業の急拡大です。

「安いから」という理由で買った商品の品質が悪ければ、消費者はそのブランドを二度と信用しません。
「安さ」で消費者の注目を集める一方で「お値段以上の品質」を実現しなければ、決して成功しません。

「お値段以上の品質」という点に中華ガジェットの特殊性があります。
一般的な製造業では、ボリュームディスカウントが効く大企業のほうが安くて品質がよい製品をつくれます。
ではドローンの場合はどうでしょうか?

U31Wと同じ機能のドローンを同じコストで開発できる大企業はおそらく皆無でしょう。
大手企業は品質的にもサポート的にも中華チップを使いこなせません。
「たまに壊れて良いから、安くて動けばいい」というコンシューマーエレクトロニクスにおいて、中華チップの使いこなしが競争力に直結するにもかかわらず・・・

飛躍する中華ガジェット、沈みゆく日本の家電メーカー

中国ではデジタル、アナログ問わず幅広いジャンルの半導体産業が成長しています。
今後、中華ガジェットのレベルが増々飛躍していくのは間違いないでしょう。
かつてソニーがポータブルラジオで成功したときと同じ勝ちパターンです。
1955年当時、米テキサス・インスツルメンツ社のトランジスタを使ったラジオが先行していました。
ソニーはトランジスタを内製化し、安くて高品質なポータブルラジオを実現。
先行していた米国メーカーを打ち負かしたのです。

お株を奪われた日本の電機メーカーはまさに沈みゆく巨船です。
でも案ずることはありません。
昨日までのやり方が通用しなくなっただけです。
新しい戦略を見つければよいのです。

「組織は戦略に従う」というアルフレッド・チャンドラーの名言があります。
新しい戦略ができれば自ずと組織も新しくなります。

日本のエレクトロニクス産業は課題の解決を先んじて求められているのです。
幕末の夜明け前だと考えると、これから起きていくだろう変化にワクワクしてきます。

UDIRCのU31Wは現代の「ソニーのラジオ」です。
今すぐ、このインパクトを体感すべきです。

UDI R/C U31W
実売9000円程度