おばかさんよね。

ドヤ顔でミリ波レーダーを語るために知っておきたい5つの新・常識

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2017/10/08

突然ですが、あなたはミリ波レーダーをドヤ顔で語れますか?

こんにちは。
投資ブログ業界のハイテク銘柄担当、あるばかです。

ミリ波レーダーは自動運転に必要不可欠な重要技術です。
自動運転といえば車載カメラの映像から深層学習するNVIDIAのDRIVE PXが話題になりましたが、脇役として目立たなかったミリ波レーダー市場も盛り上がりつつあります。

忙しいビジネスマンのために、ミリ波レーダーの最新情報をぎゅっと濃縮してお届けします。

常識その1「ミリ波レーダーとは?」

電波を飛ばして障害物を検知する技術です。
ミリ波帯(波長が1〜10mm=周波数30〜300GHz)の電波を使うため、ミリ波レーダーと呼ばれています。
ちなみに24GHz帯(波長6.25cm)の電波を使う方式もあり、こちらは準ミリ波レーダーと呼ばれています。

超音波センサー(クリアランスソナー)との違い

超音波方式のセンサーはクリアランス・ソナーとも呼ばれています。
非常に安価ですが、1mくらいの極至近距離しか検知できません。
一方、ミリ波レーダーでは100m以上先も検知できます。


極至近距離を検知するソナーの役割は、車庫入れのサポートや発進時にバッグギアを入れ忘れたときの警告くらいです。

赤外線レーザーセンサーとの違い

赤外線レーザーセンサーはビールの代わりに発泡酒を飲むのと似た発想です。
20m先くらいまでの障害物を検知でき、しかもミリ波レーダーよりずっと安価です。


ダイハツ ムーヴCM 「スマートアシスト/こんな感じ」篇
高価なミリ波レーダーを搭載できない軽自動車で、自動ブレーキ機能を安価に実現するために使われています。

ミリ波レーダーの低価格化が進んでいるため、今後は赤外線レーザーレーダーは消えていくと言われています。

LiDAR(レーザースキャナー)との違い

LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)は、赤外線レーザーで周囲の障害物を3次元的に把握できる超高性能なセンサーです。
めちゃくちゃ高価なので、現時点では自動運転の実験車両くらいでしか搭載されていません。

「赤外線で検知する」という根本的な原理はLiDARも自動ブレーキ用レーザーレーダーも同じですが、混同してしまうと恥ずかしいです。(経験者談)
テレビのリモコンとXboxのキネクトくらい、まったく違うシロモノです。

LiDARは性能的には最強ですが、赤外線が減衰するので長距離の検知は苦手です。
完全自動運転では長距離はミリ波レーダー近くはカメラとLiDARが本命だと言われています。

常識その2「カメラがあればレーダー不要?」

自動ブレーキにせよ、自動運転にせよ、
「カメラがあればなんでもできる」
「ミリ波レーダーなんて飾りです。偉い人にはそれが分からんのですよ」
という雰囲気で説明されることが多いですが、これは誤解です。

「人間は視覚だけで運転しているので、自動ブレーキも自動運転もカメラだけで実現できる」
という説明はたしかに分かりやすい考え方です。

しかしカメラにも弱点があります。
テスラ モデルSの死亡事故は、白い大型トラックが太陽光の反射で空と同化してしまい、カメラがトラックを検知できないことが原因でした。
カメラは人間の眼よりダイナミックレンジ(識別できる明暗の差)が狭いため、こういう状況が苦手です。
ミリ波レーダーはトラックを検出していましたが、テスラのAutopilot機能はカメラの情報を重視するプログラムになっていました。

テスラはモデルS死亡事故後、Autopilotのプログラムをアップデートし、ミリ波レーダーの情報も重視するアルゴリズムに変更しています。
自動運転車: テスラ「モデルS」事故の教訓

その後、テスラはAutopilot機能のサプライヤーをモービルアイからNVIDIAに変更しました。
NVIDIAの自動運転技術の特徴はディープラーニングで人間を超える認識率を実現したことです。
しかも高性能なGPUで複数のカメラ映像を同時処理でき、360°全方位に死角がありません。

しかしながら「高性能なNDIVIAならミリ波レーダー不要」とはなりません。
むしろ「完全自動運転なら複数のミリ波レーダーが必須」なのです。

NVIDIAがどんなに高性能なGPUを使ったとしても、カメラが苦手な状況は存在します。
自動ブレーキのようなADAS用途なら、スバルのアイサイトのようにカメラだけで割り切ることも可能です。
しかし自動運転のようにミッションクリティカルな用途になってくると、カメラの弱点を補うミリ波レーダーの重要性が高まるのです。

常識その3「クルマ1台にレーダーは何個いるの?」

クルマ1台に搭載されるミリ波レーダーの数はおおよそ次の3パターンです。

松竹梅で例えると、
いちばん安い梅コースが前方用レーダー1個のみ、
真ん中の竹コースが前方用1個と後側方用2個の計3個
そして最も高価な松コースが前方1個、前側方2個、後側方2個の計5個です。

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ミリ波レーダーは設置する場所によって役割が異なります。
それぞれの特徴を紹介しましょう。

前方

前方監視レーダーは、同一車線を走る前方車両との車間距離を測定するのが主な役割です。
レーダーとしての特徴はこんな感じです。

  • 主な用途はACC(クルーズコントロール)、PCS(プリクラッシュセーフティ、衝突被害軽減ブレーキ)
  • 検知距離200m以上の長距離・狭角のLRR(Long Range Rader)
  • 周波数は77GHz帯(76〜77GHz)
  • フロントエンブレムの内側に設置

後側方

後側方監視レーダーは、ドライバーの死角になりやすい後方の車両や歩行者を検知するのが主な役割です。
レーダーとしての特徴はこんな感じです。

  • 主な用途はブラインドスポットモニター、車両接近警告、PCS(プリクラッシュセーフティ、衝突にそなえた座席、シートベルト制御など)
  • 検知距離100m未満の短距離・広角のSRR(Short Range Rader)
  • 周波数は24/26GHz帯の準ミリ波帯が主流。法規制上、24/26GHz帯は使える帯域が広いため、歩行者と車両の識別が可能(距離分解能が高い)。77GHz帯が帯域0.5GHzに対し、24/26GHzは帯域4GHz。
  • リアバンパーの内側に左右ひとつずつ設置

前側方

前側方監視レーダーは、前方監視レーダーがカバーできない広角側を補助するのが主な役割です。
レーダーとしての特徴はこんな感じです。

  • 主な用途はPCS。交差点や曲がり角での出会い頭の事故回避、緊急ブレーキ時にフリースペース検出して操舵回避を組み合せるなど
  • 検知距離は後側方とおおむね同じ。検知距離を少し伸ばしたMRR(Mid Range Rader)の場合も。
  • フロントバンパーの内側に左右ひとつずつ設置

常識その4「79GHz帯」

ミリ波レーダーについてコメントを求められたときは
「やはり79GHz帯の動向に注目ですね」
と返しておけば、とりあえずなんとかなる。
――それくらい大注目のキーワードが「79GHz帯」です。

79GHz帯とは?

世界各国で79GHz帯(77〜81GHz)を車載レーダーに割り当てる議論が進んでいます。
現行の77GHz帯(76〜77GHz)では帯域が500MHz〜1GHzに制限されているため、歩行者と自動車を分離検知できないなど分解能に課題があるためです。

24GHz UWBの上位互換

歩行者を検知するSRR(短距離レーダー)用途として、24/26GHz帯(UWB、帯域4GHz)の準ミリ波レーダーが採用されていますが、衛星通信との干渉を避けるため、送信パワーが低く抑えられており、長距離を検知できません
24/26GHz帯 UWBは79GHz帯のレーダーが実用化されるまでの中継ぎ投手的ポジションです。

課題は法規

79GHz帯の実用化は間近だと言われています。
最後の課題となっているのが法規です。

欧州では既に79GHz帯が車載レーダー用途に割当されていますが、米国では依然、検討中です。
とはいえ、いつまでも24/26GHz UWBを使い続けるわけにはいかず、技術的にも77GHz帯から拡張しやすい79GHz帯に移行するのはもはや時間の問題です。

常識その5「CMOSモノリシック化」

「79GHz帯」と並ぶ重要キーワードが「CMOSモノリシック化」です。

CMOSモノリシック化とは?

ミリ波レーダー用ICをCMOSプロセスで実現することです。
現行のミリ波レーダー用ICは高価なSiGe(シリコンゲルマニウム)プロセスで製造されています。
これを汎用的なCMOSプロセスで実現できれば、コストを大幅に削減でき、ミリ波レーダーの爆発的な普及につながると期待されています。

CMOSプロセスの課題

SiGeバイポーラトランジスタの特徴のひとつが低ノイズ・ハイパワーであることです。
反射した電波からターゲットを検知するレーダーの原理上、送受信ICのノイズとパワーがレーダー性能に直結します。
CMOSプロセスでどこまでの性能を実現できるかが最大の技術課題となっています。

CMOSプロセスのメリット

CMOSプロセスの最大のメリットは「安いこと」です。
汎用的な安い製造プロセスであることに加え、微細化が進んでいるため、マイコンやDSPなどデジタル処理回路も集積可能です。

79GHz帯がドアオープナー

CMOSミリ波レーダーICの販売戦略上、79GHz帯が鍵になると予想しています。
具体的にはこんなシナリオです。

  1. ノイズや出力といったCMOSの性能的弱点はSRR(短距離レーダー)ではLRR(長距離レーダー)ほど重視されないため、79GHz帯 SRRがCMOS化のドアオープナーとなる
  2. 市場拡大に合わせて研究開発がさらに加速
  3. 最終的に77GHz LRRもSiGeを置き換える性能がCMOSで実現する

これまでミリ波レーダーといえば前方監視用LRRのイメージでしたが、
これからの成長ドライバーは周辺監視用SRRに移行していくでしょう。
カメラだけでは危険だという認識から、車1台あたりのレーダーの搭載数が増える傾向にあるからです。

ケーススタディ「CCD vs CMOS」

似たようなケースとして、携帯電話のカメラ用イメージセンサーでのCCDとCMOSの競争がありました。
当初は高感度なCCDイメージセンサが主流で、シャープが牛耳っていた市場でした。
しかし携帯電話のカメラでも画素数が重視されるようになったことでCMOSイメージセンサーの採用が広がっていきました。
CMOSの弱点だった高感度特性についても裏面照射型など感度改善する技術開発が進み、最終的にはスマホ用カメラからCCDは姿を消しました。

そういえば2008年ごろ、ブログの女王こと中川翔子さんがシャープ製ガラケーのカメラの画質が劣化したと酷評したことがありました。
画質劣化の原因はまさにイメージセンサーがCCDからCMOSに置き換わったことでした。
今となっては時代を感じる昔話ですね。
SH-01A、SH-03Aで名誉挽回を誓ったシャープ

CMOS化は破壊的イノベーションとなりえる技術です。
イメージセンサーのケースではCCDからCMOSに変わったことでシャープからソニーに王座が移りました。

SiGeのミリ波レーダーICはInfineon社が独走していますが、
CMOS化によって業界各社のパワーバランスが確実に変化すると予想しています。

次回予告

ADASや自動運転、79GHz法規制、CMOSモノリシック化など、ミリ波レーダー市場が大きく変化していることがお分かり頂けたでしょうか?
NVIDA株で味をしめて2匹目のドジョウを狙う投資家にとって、ミリ波レーダー関連銘柄は絶好のターゲットです。
次回、お待ちかねのミリ波レーダー関連銘柄をご紹介します。

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