おばかさんよね。

QualcommがSnapdragon製造元をサムスンからTSMCに変えるってさ

公開日:  更新日: 2017/10/08

TSMCの先端7nmプロセスとファンアウトパッケージ技術(InFO)が勝因という普通の解説ではスッキリ!しない玄人のための記事。

概要と通説

韓国ET Newsによると「Qualcommは10nmプロセスのSnapdragon 835シリーズはSamsung Electronicsに製造委託したが、7nmプロセスの次期『Snapdragon』SoCは発注先をTSMCに切り替えることになった」とリーク情報がでた。この情報によると、7nmプロセスのSnapdragon SoCは2017年末から2018年に発表される予定だ。Qualcomm広報は「うわさにすぎない」と報道を否定している。

ET Newsの記事ではサムスンが次期Snapdragonを失注した理由を2つあげている。

ひとつは7nmプロセスの開発遅れ。サムスンが12nmプロセスを改良した10nmプロセスを開発している間に、TSMCは10nmプロセスをスキップして、7nmプロセスの開発に集中していた。

2つめの理由はファンアウトパッケージ技術。TSMCは独自のファンアウトパッケージ技術『InFO』の量産化に成功しており、AppleのSoC『A10/A11』を独占受注している。一方のサムスンは子会社のSEMCO(Samsung Electro-Mechanics)と一緒に似たようなファンアウトパッケージ技術『FoPLP(Fan-out Panel Level Package)』を開発中だが、量産まであと1~2年はかかる見通しだ。

ET Newsソース
Qualcomm、7nmチップ発注先をTSMCに切り替えか - EE Times Japan
iPhone7で採用されたTSMCのInFO技術は半導体の新潮流となるか? - おばかさんよね

深読み

サムスンの失注理由として示唆されている、7nmと10nmプロセスの違い、ファンアウト型パッケージの薄さに関して、どちらも決定的なデメリットになるとは思えない。

最先端プロセスが最高のパフォーマンスをもたらすとは限らない。TSMC 20nmプロセスを採用したSnapdragon 810の発熱問題は記憶に新しい。

ファンアウトパッケージもチップがちょいと薄くなるだけ。TSMCのInFOを採用したiPhoneでは薄くなった分、放熱シーツを張ってAPをモデムの近くに置けるようになった。そんだけ。QualcommのSnapdragonはモデム内蔵型が売り。どうせカメラが出っ張るのだし。

ずばり、真の競争因は価格勝負だったのではないか。サムスンが先端プロセスの投資回収を目論んだ手堅い見積もりをしたのに対し、TSMCが赤字覚悟の情熱価格を出しちゃったとか。

TSMCへの影響

Apple、Mediatek、Qualcommと立て続けにスマホ大口顧客を獲得し、順調に見えるが好事魔多し。薄利多売の商売をやりすぎると、図体がでかいわりに利益がでない体質になりやすい。いわば動けないデブ、ただのデブ。長期的には次世代の開発競争で出遅れる危険をはらんでいる。Appleビジネスも利益率が悪いという噂。InFOは非常に複雑で高コスト・低収率だから。

サムスンへの影響

普通に考えたらピンチ?製造ラインが余っちゃいそう。まー、でもGalaxy向けに内製するExynosがあるし、これまで儲けた金でなんとかなるのかな。

ババを引いたのは誰だ?

7nmプロセスのSnapdragonをTSMCが受注したとして、パッケージもTSMCのInFOなのかは分からない。もしInFOだとしたら、これまでSnapdragonのパッケージを受注していた企業、新光電工とか、はやばくない???しらんけど。
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