おばかさんよね。

リチウムイオン市場は補助金合戦

公開日:  更新日: 2017/10/08

リチウムイオン電池の補助金政策がえげつないことになってる。日本の補助金はサムスンに流れている一方で、中国は自国の囲い込みを強化している。血を血で洗う補助金合戦じゃあ!

中国、韓国、日本の概況

日本政府は家庭用蓄電池に補助金を出しているが、およそ6割がサムスンSDIに流れているという。一方、中国政府は巧みな外交戦術でLGやサムスンの投資を呼び込みつつ、補助金の支給対象はBYDなど中国企業に限定する作戦だ。

サムスンは日本最大手のニチコンに供給

サムスンは日本国内の蓄電池でトップシェアのニチコンに電池を供給している。発火事故を恐れて保守的な日系メーカーを尻目に、サムスンだけが10年保証を打ち出しているからだという。

国内企業を育てるはずの補助金が皮肉にも敵に塩を送る形になっている。ニチコンをつかんだサムスンの作戦勝ちといえる。

中国は太陽電池と同じ展開を狙う

中国政府はリチウムイオン電池でも太陽電池と同じ展開を狙っている。外食の投資を引きつけて技術を吸収したあとでダンピングで市場を根こそぎ奪うやり方だ。

中国政府は韓国を牽制するため、安全性の名目で補助金の支給対象をリン酸鉄リチウム(LFP)に限定すると突如発表した。LFPは性能が劣る上に特許の都合で実質的に中国企業しか生産できない。

このままだとLGやサムスンは中国工場を売却せざるをえないかもしれない。パナソニックは中国市場の売上が少ないために影響を免れている。

パナソニックの生き残る道

パナソニックが生き残りをかけた車載市場でも中・韓の勢いが増している。パナソニックはトヨタやテスラなどカーメーカーとのパートナーシップを強化して対抗しているようにみえる。しかし時間稼ぎにしかならないだろう。

太陽電池や液晶パネルの失敗を繰り返さないためにはどうするべきか?ひとつはダンピングに保護関税やカルテルで徹底対抗すること。もうひとつは逆にリチウムイオン電池はコモディティと見限り、先端素材や特定用途電源モジュールなど先端領域に軸足を移すことも考えられる。